奈良県保険医協会

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声明:日本学術会議に対する違法・違憲の人事介入に抗議し、推薦された候補者すべての任命を求める

 奈良県保険医協会は11月14日、菅首相による日本学術会議の会員任命拒否についての理事長声明を首相官邸へ送りました。声明の全文は下記の通りです。

2020年11月14日
【声明】
奈良県保険医協会
理事長 青山哲也

日本学術会議に対する違法・違憲の人事介入に抗議し、
推薦された候補者すべての任命を求める

 菅義偉首相は、日本学術会議が第25期新規会員任命にあたり推薦した候補105人のうち、6人の任命を拒否した。
 日本学術会議は首相に対して、当該6人を任命しない理由の説明と、任命されていない6人の速やかな任命を求めている。

 日本学術会議法に照らして、首相の任命拒否は違法な態度と言わざるを得ない。
 日本学術会議は戦後、歴史の反省に立って、政府から独立した高度な自主性を備えた組織として法律にもとづき設置され運営されてきた。したがって、日本学術会議自身が求めるのはもちろん、広く学術界、研究者、その他多くの国民が首相による会員任命拒否に対して憂慮し、あるいは抗議し、その善処を求めている。当然のことである。

 菅首相は国会でこのことを問われても、任命拒否の理由の具体的な説明は一切拒み、学術会議の会員構成等に言及するなど理由にならない答弁を繰り返し、挙げ句に推薦前に日本学術会議側が内閣府と事前調整をしなかったことに原因があるがごとき発言に至り、違法な人事介入であることを事実上認めた。
 日本学術会議が軍事研究に協力しない態度表明をしてきたこと、任命を拒否された6人が安保法制や共謀罪法に異を唱えた人物であることから、政権の政策志向に反する人物を排除したとの憶測が、否応なく強まる。たとえ、それを首相が言葉のうえで否定しても、政権の意に沿わない者を排除する行動として厳然たる圧力となる。

 日本学術会議の会員任命拒否は、学問の自由を脅かし、言論の自由、思想信条の自由をも揺るがすことにつながる。自由な研究・言論活動がなくては、医療も歪められてしまうおそれがある。私たちが直面している新型コロナウイルスの感染症対策も、政治的な思惑に左右されることなく、科学的知見に立脚してこそ、真に国民の生命・暮らしを守るものとなる。
 日本学術会議への人事介入が、首相によってなされた違法・違憲の行為であり、法治主義の蹂躙であることにも強く抗議する。

 菅首相が速やかにその誤りを認めて、日本学術会議からの2点の要請に応えることを求める。

以上

見解

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