声明:マイナス改定は容認できません/地域医療を立て直すために診療報酬・介護報酬の大幅な引き上げを求めます
来年2018年4月には、診療報酬と介護報酬の改定が予定され、現在、次期改定に向けた検討が政府の内部ですすめられています。
当会では先般に開催した定例理事会(11月16日)において、現下の状況を考慮し、診療報酬等の引き下げに反対し、大幅な引き上げを強く求める考えを政府関係機関へ表明することを確認しました。この理事長声明はこの決定にもとづくものです。
この声明は本日(11月21日)、首相・厚生労働相・財務相へあて、それぞれファクスで送付しました。また、地元関係の衆参国会議員にも郵送の手配をしました。
理事長 青山哲也
地域医療を立て直すために
診療報酬・介護報酬の大幅な引き上げを求めます
社会保障費の自然増を大幅に削減する政府の方針のもと、2018年診療報酬・介護報酬改定をめぐってはマイナス改定の動きが強まっています。財務省は10月25日の財政制度等審議会・財政制度分科会で、2018年の診療報酬改定について、薬価部分のみなら
ず、本体部分も引き下げて、「2%半ば以上のマイナス改定」が必要との方針を示しました。また、同時改定となる介護報酬についても、マイナス改定の方向が打ち出されました。
財務省は、診療報酬は「医療機関の収入」である一方、「国民の負担」であるとして、「国民負担の抑制」を診療報酬引き下げの口実にしています。また、「賃金や物価の水準とくらべて高い」として本体部分のマイナス改定を主張しています。
しかし、診療報酬は医療機関の収入であると同時に、患者さんが受ける医療の内容、質・量を規定するものです。患者さんに安全・安心な医療を提供するために、必要な人件費や設備関係費を確保しうる技術料が不可欠です。財務省の主張は、診療報酬の性格を一面的に描くことで、引き下げへ世論誘導するものであり容認できません。診療報酬本体の引き下げは医療従事者の人件費引き下げにもつながり、政府の賃上げの取組みとも矛盾します。
2002年~08年にかけて4回連続でマイナス改定が行われ、各地で「医療崩壊」といわれる事態を引き起こしました。その後も、この事態を立て直す抜本的なプラス改定はなされないまま、14年には実質マイナス改定、16年には再びマイナス改蓄
蠅・圓錣譴泙靴拭・br> そのうえ、11月8日に中医協に示された「第21回医療経済実態調査」では、16年度の一般病院の損益率はマイナス4.2%と「過去3番目に悪い数値」となり、厳しい実態が明らかとなりました。一般診療所、歯科診療所の損益率も悪化の傾向がつづいています。
さらに、医師不足と長年の診療報酬抑制を背景に、長時間勤務による医師の過労死が相次ぐなど、医療現場の過重労働が大きな問題となっています。
介護についても、10月26日に示された介護事業経営実態調査結果では、16年度の全体の平均収支差率は3.3%で、前回調査(13年度7.8%)と比較して大幅に低下しました。
マイナス改定によって、医療機関や介護事業所の経営悪化、現場の労働環境の悪化がさらに進み、閉鎖や診療科の縮小などが起これば、患者さんや地域住民は医療へのアクセスが制限され、介護が受けたくても受けられないといった事態を強いられることになります。
私たちは、再び「医療崩壊」をまねく財務省の大幅なマイナス改定方針に反対するとともに、地域の安全・安心の医療・介護提供体制を無理なく保持するために、診療報酬技術料の10%以上の引き上げと介護報酬の大幅な引き上げを強・ ・瓩瓩泙后・/p>
なお、私たちは受診時の患者負担が重いことも改善すべきと考え、その大幅な軽減を関係各方面へ要望していることも付言しておきます。
見解
- 2022年12月23日第57回定期総会 決議
- 2022年7月29日理事長声明「安倍元首相の国葬に反対する」
- 2022年3月3日【声明】プーチンの暴走とロシアによるウクライナ侵攻に抗議するとともに、ロシア軍の攻撃中止とウクライナからの即時撤退を求める
- 2021年9月24日コロナ特例の診療報酬、9月末での打ち切り表明への抗議と10月以降の継続を求める緊急要請
- 2021年7月26日理事長談話「ヒロシマ・ナガサキ、そしてオリンピック」
- 2021年5月26日「75歳以上の医療費窓口負担2割化」法案、少なくとも今国会での審議・採決はやめて、コロナ対応に集中を
- 2021年2月24日理事会声明「日本政府の核兵器禁止条約への参加は唯一の戦争被爆国としての責務」
- 2020年12月13日第55回定期総会 決議
- 2020年11月14日声明:日本学術会議に対する違法・違憲の人事介入に抗議し、推薦された候補者すべての任命を求める
- 2020年9月18日奈良県へ要望:地域別診療報酬ではなく、すべての保険医療機関に対する給付金等の財政措置を求めます
- 2020年2月4日厚労省公表の公的病院再編・統合「再検証」リストの問題をめぐり、当会など4団体で共同声明
- 2019年12月25日第54回定期総会 決議
- 2019年4月23日健保法等一部改正法案の徹底審議を求めます
- 健保法等一部改正法案の徹底審議を求めます
- 2018年5月17日理事会声明:奈良県の医療の質を低下させ、空洞化、崩壊に導く「地域別診療報酬」―その導入も、検討も、断固として反対する
- 2017年11月21日声明:マイナス改定は容認できません/地域医療を立て直すために診療報酬・介護報酬の大幅な引き上げを求めます
- 2017年6月16日声明:「共謀罪」(「テロ等準備罪」)を新設する組織犯罪処罰法等改正案の採決強行・成立に抗議し、廃止を求める
- 2017年3月22日声明:共謀罪(「テロ等準備罪」)新設に反対します
- 2016年12月23日「高齢者いじめの負担増」の中止を求めます
- 2016年12月3日TPP協定を今国会で批准しないよう求めて、参院特別委員へ緊急のファクス要請―奈良県保険医協会
- 2016年10月25日TPP協定を今国会で批准しないよう求めて、衆院特別委員と地元国会議員へ緊急のファクス要請―奈良県保険医協会
- 2015年9月19日[声明]安全保障関連法案の強行採決、可決・成立に断固として抗議する
- 2015年9月4日参議院議員あて「安全保障関連法案の拙速な採決に反対し、同法案の撤回、廃案を求める」要請―奈良県保険医協会
- 2015年7月16日[声明]衆議院での安全保障関連法案の採決強行に強く抗議し、同法案の撤回、廃案を求める
- 2012年10月5日オスプレイの配備に抗議、撤回求める声明/理事長と反核平和委員長
- 2012年7月20日理事会声明「日本の核武装を想起させる原子力基本法の改悪に抗議する」
- 2012年7月2日理事長声明「消費税増税関連法案と『社会保障制度改革推進法案』の衆議院での採決強行に抗議し、参議院での廃案を要求する」
- 2012年6月8日理事長声明「改めて大飯原発の再稼働に反対する」
- 2012年4月20日理事会声明「大飯原発の『安全宣言』に抗議し、再稼働に反対する」
- 2012年1月20日理事会声明「アメリカの新型核実験に抗議する」
- 理事会声明「診療報酬マイナス改定は回避したが医療再生にはほど遠い改定率―改定率の見直し、引き上げを求める」
- 2011年3月22日福島原発事故に対する声明
- 2011年2月18日医療の市場化拡大で国民皆保険制度の崩壊へと向かうTPPへの参加には強く反対する
- 2010年10月8日〈声明〉犯罪捜査のプロを指導監査に活用する提案と、その問題点を認識しない厚生労働省に強く抗議する
- 2009年11月30日副財務相の診療報酬引き下げ発言に対し財務省へ抗議文~奈良県保険医協会
- 2009年11月6日厚生労働省の政務三役に、レセオンライン義務化撤回求める要請書を送付/奈良県保険医協会
- 2009年10月19日レセプトオンライン請求義務化に関する請求省令の改正案への意見
- 2008年8月25日集会アピール(後期高齢者医療制度の廃止をもとめる奈良県集会)
- 2006年6月14日国民から医療を遠ざけ、国民皆保険制度を壊し、高齢者に苛烈な負担を強いる医療制度「改革」関連法案の可決・成立に抗議する
- 2006年5月19日国民皆保険制度を崩壊させる医療「改革」法案の強行採決に抗議する
- 2006年1月10日(休載)
- 2005年12月20日診療報酬・介護報酬の大幅引き下げに抗議する
- 2005年11月1日国民皆保険制度の発展と逆行する医療構造改革試案に反対、患者負担軽減・診療報酬改善など求めて中央行動(10月27日)
- 2005年10月4日「制限回数を超える医療行為への混合診療導入」の中止と、診療報酬における、医療上の根拠があいまいな回数制限の廃止を求める緊急要請書
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