奈良県保険医協会

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声明:共謀罪(「テロ等準備罪」)新設に反対します

 政府が3月21日、共謀罪(「テロ等準備罪」)の新設法案を閣議決定し、国会へ提出しました。これに対して、奈良県保険医協会は3月22日、共謀罪の新設に反対する理事長声明を発出、首相官邸と法務省に送付しました。
 この声明は、奈良県関係国会議員にも、あす3月23日、奈良県保険医協会の役員が上京して、全国保険医団体連合会(保団連)の中央要請行動に参加するのにあわせて、直接、持参して届けます。

2017年3月22日
【声明】
奈良県保険医協会
理事長 青山哲也

際限のない市民監視、人権侵害につながる
共謀罪(「テロ等準備罪」)新設に反対します

 政府は3月21日、組織犯罪処罰法等の改正案を閣議決定しました。
 同法案は「テロ等準備罪」の新設をおもな内容とし、それは国民の批判を浴びて過去に三度も廃案を余儀なくされた、いわゆる「共謀罪」に相当します。
 同法案では、組織的犯罪集団が2人以上で、特定の犯罪を計画(実行を合意)し、準備行為をすることで処罰することとしています。
 しかし・ ∩反ヅ・蛤畚乎弔猟蟲舛・K罎如・貳未了毀叡賃里發修梁仂櫃砲気譴・佑泙擦鵝9餡饋概弔婆笋錣譴針〔馨覆蓮∋毀叡賃里覆桧貳未涼賃里・Ⅷ舛魄貶僂気擦襪海箸砲茲蠡仂櫃箸覆蠅Δ襪氾柀曚靴討・蝓△修糧獣任倭楮叉ヾ悗飽僂佑蕕譴討い泙后・br> さらに、何をもって犯罪の実行の合意とするのかについて、書面や言葉でなされなくても黙示的行為、たとえば目配せやうなずきだけでも成立するとされ、メールや無料通信アプリ「LINE」のやりとりでも成立すると説明されています。
 このような考え方のもとでは、「テロ等準備罪」の捜査にあたって捜査機関は対象者の会話や通信、行動を監視して判断することになります。警察や検察の恣意的な判断で、プライバシーの侵害が横行することが懸念されます。
 そして何より、既遂の犯罪の処罰が原則である刑法の考えを転換し、既遂以前の準備(予備)、計画・共謀の段階で処罰することは、内心の自由、表現の自由を脅かすことになります。
 「テロ等準備罪」には自首した者に対して刑罰の軽減や免除も盛り込まれました。密告の奨励につながり、上記の罪の構成要件のあいまいさとも関連して、警察機関による監視社会が生まれ、冤罪誘発のおそれも生じます・ ・br> これらは、憲法の保障する集会・結社の自由、言論・表現の自由を侵すことにつながります。
 政府が同法案の必要性を説く理由として、国際組織犯罪防止条約(国連越境組織犯罪防止条約・TOC条約)の批准、2020年の東京五輪のテロ対策をあげていますが、日弁連も刑法学者らも、現行の刑法と法律のもとで対処しうると反論しており、立法の根拠に乏しく、むしろ上述のような懸念がきわめて大きいと考えます。
 すでに通信傍受法や特定秘密保護法が制定され、通信傍受(盗聴)はその範囲が拡大されたこともあいまって、共謀罪の新設により、その運用によっては戦前の治安維持法の再来をも想起させます。
 当会は、医療や社会保障で政府の政策路線の転換を求め、批判も行っています。上記の法改定が実施されれば、こうした言論活動や運動さえも監視や捜査の対象にされかねず、萎縮にもつながりかねません。当会にとどまらず、あらゆる市民活動にも影響が及び、健全な市民社会の発展にとって深刻な懸念を抱くところです。
 私たちは、このような危惧のある「組織犯罪処罰法等の改正案」には強く反対します。

以上

見解

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