医療の市場化拡大で国民皆保険制度の崩壊へと向かうTPPへの参加には強く反対する
〈見解〉
医療の市場化拡大で国民皆保険制度の崩壊へと向かうTPPへの参加には強く反対する
奈良県保険医協会
2011年度第3回定例理事会
政府は昨年11月9日、「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定し、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加に向けた協議を始め、その判断を今年6月をめどに行うとしている。菅直人首相は「平成の開国」と述べてTPP参加を前提に協議を進める姿勢を強めている。
TPPへの参加は国内の農業に壊滅的な影響を与えるなどの指摘があるが、医療の分野においても重大な懸念がある。
政府は「新成長戦略」において、医療の「成長牽引産業」化と「国際交流」推進を決定し、その実現をめざしている。「海外の優れた経営資源を取り込む」ことや、「看護師・介護福祉士等の海外からの人の移動」を掲げ、それを「規制改革」と「総合特区制度」で後押しして、具体化する方針である。
政府の行政刷新会議「規制・制度改革分科会」は1月26日に「規制改革」の中間取りまとめを了承した。「事前規制から事後チェック行政への転換を図る」ことを求め、「改革の方向性」と・
靴董◆峺・・欷韻療・冏楼呂鮑督蟲舛垢襪海箸・・廖廚箸掘◆峭餾欅緡展鯲・砲茲覲姐饋祐擬圈・昌・圓亮・影・譟廚覆匹魑鵑押・鎚鵡猝椶任蓮・貭蠅両魴鏖爾如・緡屠/佑悗両衢抄眷枦・箟塚・覿箸量鮨Π・・緡屠/楊魄・箸覆襪海箸鯒Г瓩襦・貳麺儖緻・覆離ぅ鵐拭璽優奪氾刕稜箋・・療映僉△覆匹魑鵑欧討い襦・/p>
海外から「人」や「経営資源」が国内に参入すれば、我が国の医療に市場原理が持ち込まれ、外国資本が経営に参画した医療法人・医療機関が広がり、原則禁止の混合診療が拡大・解禁されるという事態が懸念される。
医療ツーリズムによって、自費で高額の治療費を支払う外国人富裕層の受け入れを推し進めると、利益追求のための患者の選別や、医師・看護師の過度の確保・集中を招くおそれもあり、地域医療の崩壊に拍車をかける。
営利資本が医療法人経営に参画し配当を認めれば、医療の非営利性は損なわれる。
副作用リスクが高い医薬品のインターネット販売を禁止し、薬剤師等が常駐する対面販売を義務付けるなどの規制を撤廃することは、利便性向上のうたい文句の影で、医薬品の安全な使用より、利益追求を優先させることになる。
医療の市場化は、命や健康の商品化
であり、社会保障としての医療制度(国民皆保険制度)をお金のあるなしで左右される医療制度へと大きく舵を切ることを意味する。
公的医療費抑制と医療の市場化拡大によって、国民皆保険制度の崩壊へと向かうTPPへの参加には、強く反対する。
見解
- 2022年12月23日第57回定期総会 決議
- 2022年7月29日理事長声明「安倍元首相の国葬に反対する」
- 2022年3月3日【声明】プーチンの暴走とロシアによるウクライナ侵攻に抗議するとともに、ロシア軍の攻撃中止とウクライナからの即時撤退を求める
- 2021年9月24日コロナ特例の診療報酬、9月末での打ち切り表明への抗議と10月以降の継続を求める緊急要請
- 2021年7月26日理事長談話「ヒロシマ・ナガサキ、そしてオリンピック」
- 2021年5月26日「75歳以上の医療費窓口負担2割化」法案、少なくとも今国会での審議・採決はやめて、コロナ対応に集中を
- 2021年2月24日理事会声明「日本政府の核兵器禁止条約への参加は唯一の戦争被爆国としての責務」
- 2020年12月13日第55回定期総会 決議
- 2020年11月14日声明:日本学術会議に対する違法・違憲の人事介入に抗議し、推薦された候補者すべての任命を求める
- 2020年9月18日奈良県へ要望:地域別診療報酬ではなく、すべての保険医療機関に対する給付金等の財政措置を求めます
- 2020年2月4日厚労省公表の公的病院再編・統合「再検証」リストの問題をめぐり、当会など4団体で共同声明
- 2019年12月25日第54回定期総会 決議
- 2019年4月23日健保法等一部改正法案の徹底審議を求めます
- 健保法等一部改正法案の徹底審議を求めます
- 2018年5月17日理事会声明:奈良県の医療の質を低下させ、空洞化、崩壊に導く「地域別診療報酬」―その導入も、検討も、断固として反対する
- 2017年11月21日声明:マイナス改定は容認できません/地域医療を立て直すために診療報酬・介護報酬の大幅な引き上げを求めます
- 2017年6月16日声明:「共謀罪」(「テロ等準備罪」)を新設する組織犯罪処罰法等改正案の採決強行・成立に抗議し、廃止を求める
- 2017年3月22日声明:共謀罪(「テロ等準備罪」)新設に反対します
- 2016年12月23日「高齢者いじめの負担増」の中止を求めます
- 2016年12月3日TPP協定を今国会で批准しないよう求めて、参院特別委員へ緊急のファクス要請―奈良県保険医協会
- 2016年10月25日TPP協定を今国会で批准しないよう求めて、衆院特別委員と地元国会議員へ緊急のファクス要請―奈良県保険医協会
- 2015年9月19日[声明]安全保障関連法案の強行採決、可決・成立に断固として抗議する
- 2015年9月4日参議院議員あて「安全保障関連法案の拙速な採決に反対し、同法案の撤回、廃案を求める」要請―奈良県保険医協会
- 2015年7月16日[声明]衆議院での安全保障関連法案の採決強行に強く抗議し、同法案の撤回、廃案を求める
- 2012年10月5日オスプレイの配備に抗議、撤回求める声明/理事長と反核平和委員長
- 2012年7月20日理事会声明「日本の核武装を想起させる原子力基本法の改悪に抗議する」
- 2012年7月2日理事長声明「消費税増税関連法案と『社会保障制度改革推進法案』の衆議院での採決強行に抗議し、参議院での廃案を要求する」
- 2012年6月8日理事長声明「改めて大飯原発の再稼働に反対する」
- 2012年4月20日理事会声明「大飯原発の『安全宣言』に抗議し、再稼働に反対する」
- 2012年1月20日理事会声明「アメリカの新型核実験に抗議する」
- 理事会声明「診療報酬マイナス改定は回避したが医療再生にはほど遠い改定率―改定率の見直し、引き上げを求める」
- 2011年3月22日福島原発事故に対する声明
- 2011年2月18日医療の市場化拡大で国民皆保険制度の崩壊へと向かうTPPへの参加には強く反対する
- 2010年10月8日〈声明〉犯罪捜査のプロを指導監査に活用する提案と、その問題点を認識しない厚生労働省に強く抗議する
- 2009年11月30日副財務相の診療報酬引き下げ発言に対し財務省へ抗議文~奈良県保険医協会
- 2009年11月6日厚生労働省の政務三役に、レセオンライン義務化撤回求める要請書を送付/奈良県保険医協会
- 2009年10月19日レセプトオンライン請求義務化に関する請求省令の改正案への意見
- 2008年8月25日集会アピール(後期高齢者医療制度の廃止をもとめる奈良県集会)
- 2006年6月14日国民から医療を遠ざけ、国民皆保険制度を壊し、高齢者に苛烈な負担を強いる医療制度「改革」関連法案の可決・成立に抗議する
- 2006年5月19日国民皆保険制度を崩壊させる医療「改革」法案の強行採決に抗議する
- 2006年1月10日(休載)
- 2005年12月20日診療報酬・介護報酬の大幅引き下げに抗議する
- 2005年11月1日国民皆保険制度の発展と逆行する医療構造改革試案に反対、患者負担軽減・診療報酬改善など求めて中央行動(10月27日)
- 2005年10月4日「制限回数を超える医療行為への混合診療導入」の中止と、診療報酬における、医療上の根拠があいまいな回数制限の廃止を求める緊急要請書
さらに過去の記事を表示