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副財務相の診療報酬引き下げ発言に対し財務省へ抗議文~奈良県保険医協会

 奈良県保険医協会は11月27日、野田佳彦財務副大臣による診療報酬引き下げ発言に対して、これに抗議するとともに、診療報酬の引き上げをもとめる文書を藤井裕久財務大臣と野田財務副大臣に対して送付しました。

2009年11月27日
財務大臣  藤井 裕久 殿
財務副大臣 野田 佳彦 殿
奈良県保険医協会
理事長 峯 克彰

医療費総枠拡大のマニフェストにも反した野田財務副大臣の診療報酬引き下げ発言に抗議する

医療再生のためには診療報酬の大幅引き上げこそ求められる

 野田佳彦財務副大臣は、11月19日の記者会見で来年度の診療報酬改定について技術料本体は「最低限はゼロでおさまるところまでやらないといけない」とのべ、薬価引き下げを含めたネットでの引き下げを示唆した。マスコミ報道によると、財務省主計局の方針は「3%程度の引き下げ」と伝えられている。
 しかし、2002年からの4回連続マイナス改定の合計は、2001年対比でマイナス7.53%になり、仮にマイナス改定がなかった場合と比べた医療費の削減額は13兆円にものぼる。これが「医療崩壊」を生み出した最大の原因である。
 病院勤務医が疲弊している問題の解決には、過重労働や時間外手当不払の改善など様々な問題があり、この状況を改善するためには診療報酬の大幅な引き上げが不可欠である。
 同時に、勤務医だけでなく開業医も窮地に陥っており、診療所の報酬を引き下げて病院にまわすやり方では、医療崩壊は食い止められない。
 診療報酬は、医師の給与ではなく、医療従事者の人件費や医療の経費を賄うとともに、国民が受ける医療の範囲や質・量を決めるものである。
 政権を獲得することとなった先の総選挙で民主党はマニフェストに、医療費総枠をOECD加盟国平均まで拡大することを掲げている。野田副大臣の発言は明らかにマニフェストに反する。また、副大臣の発言が財務省主計局の意向によるものであれば、民主党の掲げる「政治主導」の看板に偽りありといわざるを得ない。
 医療費の総枠を拡大することが新政権にとって最重要課題である。
 以上のことから、野田財務副大臣の発言に抗議する。そして、医療再生のため、そして中小病院や医科・歯科診療所が地域医療に一層役割を果たせるよう、診療報酬を大きく引き上げることを強く求める。

※ 副大臣による診療報酬引き下げ発言のあった記者会見の内容は、財務省のWEBサイトに掲載されています。リンクを掲載します。→こちら(野田財務副大臣記者会見の概要:11月19日)

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