奈良県保険医協会

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国民から医療を遠ざけ、国民皆保険制度を壊し、高齢者に苛烈な負担を強いる医療制度「改革」関連法案の可決・成立に抗議する

 自民・公明の与党は6月13日、参議院厚生労働委員会で医療制度「改革」関連法案の委員会採決を強行し、本日14日、参議院本会で与党の賛成多数により同法案を可決、成立させました。当会は、日本の医療を大きくゆがめる医療制度「改革」関連法案の採決強行と同法案の可決・成立に強く抗議します。
 この法案は、高齢者の負担を引き上げること、75歳以上の高齢者全員から新たな保険料を徴収する高齢者医療制度を創設すること、高額療養費の月額上限を引き上げること、長期入院高齢者の食費・居住費を全額自己負担化することなどの患者負担増、そして“医療難民”“介護難民”ということばで懸念されるように療養病床廃止・削減による行き先を失う患者さんをつくりだすこと、国の責任を放棄して都道府県に医療費適正化計画という医療費抑制を押しつけること、保険のきかない医療を大幅に増やし定着させる混合診療の拡大など、経済格差をいっそう医療に持ち込んで、国民を医療から遠ざけ、国民皆保険制度と地域医療を壊すものです。
 参議院厚生労働委員会での参考人意見陳述や地方公聴会でも、「医療費抑制だけに焦点を当てると経済力によって受けられる医療サービスが異なる健康格差を招く」、「療養病床の削減・廃止は個々の病院のみならず地域医療そのものを崩壊させる」など法案に対する批判や懸念が相次ぎました。
 このような問題を多くかかえる法案であるにもかかわらず、衆議院では怒号のなかで委員会採決が強行され、参議院でもまた、多くの徹底審議を求める声に耳を閉ざして、会期末をひかえて委員会審議の終了を急いでの採決でした。
 衆参両院で、異例の短時間の審議のなかでさえ、前述の問題点が次々と具体的に指摘され、小児科・産科に顕著な医師不足、医師の過重労働、医療事故対策など数々の問題が提起され、これらに対してまったく有効なこたえが示されていません。さらに、法案の一番のねらいである医療費抑制の前提になっていた政府の医療費推計への重大な疑念も繰り返し指摘されました。
 このような重大な問題点を持つ医療制度「改革」関連法案が、審議を尽くさずに成立させられたことに、第一線医療を担当する医師・歯科医師の団体として、収まらない怒りをもって受け止めています。
 私たちは、署名などに協力いただいた患者、県民のみなさまの声とともに、今国会のことを記憶に刻んで、必ず将来その方向を転換させるべく活動をすすめる決意です。

2006年6月14日
奈良県保険医協会 理事長 谷掛 駿介

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