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職員の年次有給休暇の取り扱い

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

職員の年次有給休暇の取り扱い
【2008年2月】


 勤めて6カ月しかたっていないのに有給休暇を請求する職員がいます。こんなわがままなことを許していいのでしょうか。

A
 その職員の方は週何日出勤するのでしょうか。


 5日です。

A
 そうすると、6カ月経過したわけですから10日の有給休暇が発生します。


 これまで病気とか葬式のとき、あるいは子どもの学校参観日は仕方なく有給休暇を与えていましたが、どうも遊ぶために有給休暇を取るようです。このような利用目的のためなら与えなくていいでしょうか。

A
 いえ、それはできません。年次有給休暇をどう利用するかということは、労働者の自由とされています。最高裁もかなり厳しい判決を出しています。「年休の利用目的は労働基準法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由であるとするのが法の趣旨である」としています。


 そうすると、請求された以上、与えなければなりませんか。

A
 そうです。後は時季変更権を行使するだけです。


 時季変更権とはどういうことですか。

A
 業務に影響する場合は、年休を取る時季を変更できるというもので、「事業の正常な運営を妨げる場合」はできます。


 私の診療所ではゆとりのある定員でやっているわけではありませんから、だれか休めば正常の運営を妨げられます。

A
 そんな理由では、通らないでしょう。裁判所も「単に業務の繁忙、人員の不足というだけでは事業の正常な運営を妨げる事由となすに足らないのであって、事業の正常な運営を妨げないだけの人員配置をすることは当然の前提で、その上に事前に予測困難な突発的事由の発生等特別の事情により休暇を与えることができない場合に、時季変更権の行使が認められると解する」(高知郵便局事件)としています。
 その有給休暇を講求している職員の方は能力的にはどうなのでしょうか。


 しっかりした人で、仕事はキチンとやります。

A
 それなら問題ないじゃないですか。そのような人にこそ定着してもらうことですよ。2年以内に退職されると、その支払った給料分はまったくの損失になります。これは目に見えない無駄です。いい職員に定着してもらうことこそ、経営安定の必要条件です。


 それはそうでしょうが、私の父も医者で父が現役のころ私は学生でよく見ていましたが、その看護師さんは、朝早くから父の乗用車を掃除したり、夜も遅くまで診療所内を清掃したりしていました。まして有給休暇などほとんど取りませんでした。このような看護師こそ理想ではないでしょうか。

A
 先生、もうそんな時代ではありません。有給休暇が自由に取れないということは、働く人の大きな不満の要素になります。


 有給を取った者には、精勤手当・皆勤手当を与えなくてもいいでしょうか。

A
 労働基準法では「不利益な取り扱いをしないようにしなければならない」としています。はっきり禁止しているわけではないですが、実際上の禁止をしています。


 賞与はどうでしょうか。有給を取らずにがんばっている職員に報いるのは当然でしょう。

A
 それも不利益な取り扱いになります。これからは、有給もキチンと与える。残業もキチンと支払う。その結果、厳しくなれば賞与を支給しないというスタンスでいくべきでしょう。

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