奈良県保険医協会

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第24回参議院選挙へ向けて―医療・社会保障の充実を求めよう

 今夏、第24回参議院議員選挙が予定されている。
 安保法制、社会保障、TPPなどの重要な課題が目白押しになっている。

前回の参議院選挙以降を振り返って
 前回の参議院選挙は2013年に行われた。自民党が圧勝してねじれ国会が解消し、再び自公政権に戻ったが、社会保障は益々改悪されようとしている。この4月からは入院時食事代の負担増、紹介状大病院受診での窓口負担増が実施された。今後も介護保険利用料の2割負担化、75歳以上高齢者の医療費自己負担増、市販類似薬の保険外しと自己負担増など枚挙にいとまがない。医療、介護それぞれの分野で自助・自立を謳い文句にした負担増が検討されている。

TPP、安保法制はどうなるか
 TPPは大筋合意とされているが、関連法案は秋の臨時国会に先送りされた。法案が通ってしまえば日本の食の安全と国民皆保険制の根幹が揺るがされる事は間違いない。また、多くの憲法学者が違憲だと指摘した安保法制が施行された。安倍政権は自衛隊の海外派兵とそれに伴う武力行使を目論んでいる。まさに戦後70年憲法9条の下、日本が築き上げた平和国家としての誇りある立場をかなぐり捨て、戦争の出来る国へと変身させようとしているのである。
 沖縄普天間基地の辺野古への移設も選挙が終わるとまた動き出すことだろう。先だっての沖縄県議会選挙で沖縄の民意は更にはっきりと示された。沖縄に基地負担を一方的に押しつけた日本の安全保障論を今こそ見直す必要があるのではないだろうか。

アベノミクスの失政
 アベノミクスの賛否を問う、と言っているが安倍総理自ら景気の回復を否定し、消費税増税を延期せざるを得なくなった。
 消費税増税がなければ社会保障の財源がない、と言う政府やマスコミの誤った世論誘導に惑わされてはならない。社会保障の財源は消費税からではなく、内部留保をため込む大企業や一部の富裕層から徴収すればよい。消費税増税ではなく消費税減税を訴えるべきである。

原発事故以降、参院選をどう迎えるか
 福島原発事故後の「原発いらない」という世論の声を無視し、安倍内閣は原発輸出、原発再稼働をすすめてきた。国民、特に子どもの被曝問題を医療者として見過ごすことはできない。
 参議院選挙まで1カ月あまり、各候補者が出そろう中、奈良県保険医協会としても候補者や政党との懇談を積極的に行っていきたいと考えている。
 奈良でも「市民連合」が結成され、野党統一候補が立候補する予定だ。安保法制廃止の一点での野党共闘の動きにも注目したい。

今回の選挙の争点は
 安倍政権は選挙が終わるとその結果いかんでは憲法改正の企みを捨てていない。立憲主義を否定する政権が憲法を変える。我々医療人は平和の下でこそ良い医療や社会福祉が充実される事を知っている。
 今回の選挙は日本が今まで通り平和な国家でいられるのか、それとも戦争の出来る国家になるのか、と言う大きな選択選挙である。子や孫に平和な日本を残せるように是非よく考えた上で一票を投じていただきたい。

【奈良保険医新聞第405号(2016年6月15日発行)より】

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