奈良県保険医協会

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社会保障費圧縮、高齢者にしわ寄せ―今年も医療改悪が行われようとしている

 1月20日に通常国会が開会したが、医療・社会保障分野について今年も様々な改悪メニューが用意されている。
 年末に閣議決定された予算で、社会保障費は自然増分6400億円を1400億円圧縮し、5000億円に抑える。高額療養費制度、後期高齢者保険料、入院時の居住費等の改悪や薬価の引き下げなどで医療分野では950億円を抑制。介護分野では、介護保険料の総報酬割導入、高額介護サービス制度の改悪で450億円の抑制となる。2017年度の社会保障自然増分1400億円の削減内訳

高齢者に大打撃の医療費負担増
 高額療養費制度については高齢者(70歳以上)に現役世代と同様の負担を求める。一般所得者・現役並み所得者について軒並み引き上げとなる。低所得者については世論の反発も強く据え置きとされ、引き上げ幅も厚労省の当初案より圧縮されたが、高齢者の受診抑制がさらにすすむことが懸念される。
 後期高齢医療保険料については、現状で設けられている軽減特例が廃止の方向となった。入院時居住費光熱水費相当に係る患者負担に関しては、65歳以上の医療療養病床に入院する患者の居住費について、比較的軽症者(医療区分Ⅰ)で320円から370円に引き上げるほか、比較的重症の医療区分Ⅱ・Ⅲでも新たに自己負担を求める(段階的に370円まで引き上げ)。「受診時定額負担」や「市販類似薬品の保険外し」については、2017年度の実施はなくなったものの「2018年度末までに検討する」とされている。

介護保険も軒並みの削減
 介護分野は、「高齢者に重い保険料負担を強いながら、給付を外す」方向での改悪が進められようとしている。2018年8月から、単身世帯で収入383万円、2人以上世帯で収入520万円以上の約14万人を対象に、自己負担額を3割に引き上げる。既に単身で年金収入のみ280万円以上の一定所得者は、2015年8月に1割負担から2割負担に引き上げられたばかりである。「高額介護サービス」の自己負担上限額も、医療保険との公平を名目に、月3万7200円から4万4000円に引き上げられる。
 また、この先も、生活援助サービスその他の給付を見直す方向であり、生活援助中心の訪問介護について人員基準緩和と報酬の引き下げ、通所介護等の給付の保険外しなどが計画されている。また健康・医療・介護に関するデータベース「ビッグデータ」の創設も、患者の病歴などに関する膨大な情報が管理され医療費「適正」化のツールとされる恐れがある。

今こそ25条を大切に
 憲法25条で保障されている国民に健康で文化的な最低限度の生活を保障できる社会保障の中身とは到底言えない。必要な医療を患者国民に提供できるよう、今こそ国民とともに保険医の一致団結した運動が求められている。

【奈良保険医新聞第413号(2017年2月15日発行)より】

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