奈良県保険医協会

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消費税率10%引き上げは中止を

 1989年に消費税が導入されて、当初の3%から1997年に5%、2014年に8%に引き上げられ、ついに今年の10月からは10%の増税が待ち受けている。
 元々消費税は逆進性が高く、所得の差に関係なく一律にかかってくるため、低所得者ほど所得に占める消費税の割合が高くなってしまうという特徴がある。また、消費税収入分と相当額の法人税・所得税が減少している現実を知ると、消費税導入が福祉のためという当時の政府説明は全くのデタラメであると言わざるを得ない。食料品については8%据え置き、キャッシュレス決済へのポイント還元、低所得者と乳児世帯への地域振興券配布などを景気対策に盛り込んでいるが、付け焼き刃であろう。
 医療の「損税」問題については、厚労省は2月6日、中医協に今年10月に計画されている消費税率10%への引き上げに伴う対応として、初診料と再診料を引き上げる方向を示し、大筋で了承された。これが実施された場合、10月以降の患者の窓口負担が増えることになり、患者の反発や疑問が広がる可能性がある。医療機関にとっては、医療機器その他の仕入れに係る消費税が解消されないばかりか問題解決が遠ざけられ、そのうえ医療は非課税とする原則から患者の疑問や怒りの矛先にされかねない。
 消費税増税分は診療報酬改定時に上乗せされているとのことだが、実際にはそれを上回る損税を負担してきている事実がある。今回の増税は、この負担増を補填するために、例えば、医科では▼初診料を現在よりも6点高い288点に▼再診料を1点高い73点に▼外来診療料を1点高い74点に▼急性期一般入院料1を59点高い1650点に▼7対1特定機能病院入院基本料を119点高い1718点に▼7対1専門病院入院基本料を76点高い1667点に―などといった引き上げを行う。2014年度の前回消費税対応改定において「医療機関等種類別の補填過不足」が判明したため、2014年度消費税対応改定(通常改定分は維持)をリセット(消費増税対応分のみ)し「5%→10%」に対応する点数等引き上げを行う―とされているが本当に損税解消につながるのかは疑問である。
 保団連、保険医協会としては消費税増税に反対し、同時に医療機関の損税を解消するためゼロ税率の実現を引き続き求めていく。

【奈良保険医新聞第439号(2019年4月15日発行)より】

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