奈良県保険医協会

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消費税増税に備える診療所の対策

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2013年12月】消費税増税に備える診療所の対策

 平成26年4月より消費税増税が実施される運びとなっています。診療所で必要な消費税に関する留意点を説明します。

年末までに消費税納税義務の判定を

 社会保険診療報酬には消費税が課税されませんが、それ以外の自費収入などは消費税が課税される「課税売上」となります。

 その年の2年前の年の「課税売上」が年間1000万円を超える場合には、課税事業者となり消費税を納める義務があることになります。

 但し、平成25年分以降は、前年の1月から6月までの課税売上(課税売上に代えて給与等の支払額により判定する事もできます)が1000万円を超える場合には、課税事業者となります。

 平成26年に課税事業者となる場合、平成25年12月31日までに消費税簡易課税選択届出書を提出し簡易課税を選択するほうが有利な場合があるので要注意です。

診療報酬の消費税

 4月1日から消費税率が8%となります。新税率が適用される時期は、治療が終了し診療報酬が請求できる時点がいつになるかにより判定されます。3月末までに、前受金を受け取っていても、治療が4月1日以降である場合には8%の税率となります。

 逆に、治療の終了が3月末までである場合には、4月以降に報酬を受け取っていても5%の税率となります。

経費や設備投資の消費税

 経費や設備投資に関しても、実際に経費を使い設備投資の納品を受けた日が3月末までであるかどうかで判定します。3月までに支払をしても、納品などが4月である場合には8%税率となります。設備投資を検討する場合には、3月末までに納品を受けるようにします。

 また、外注費や薬剤仕入などについて締日が月末でない場合には、4月分請求書に3月納品分と4月納品分が混在することになりますから、税率ごとに区分した請求書を受け取ることにします。

外税表示が可能に

 従来、価格表などの表示をする場合消費税を含めた総額表示が義務付けられていました。

 平成25年10月1日から平成29年3月末までは、消費税が外税であることを表示すれば総額表示をしなくともよいこととされました。

納税資金の準備を

 消費税の納税が必要な場合、納税資金の計画的な積立をすることが賢明です。

 簡易課税の適用を受けている場合には、売上の50%の仕入税額控除が認められます。従って、毎月の自費診療収入の4%が納税額となります。

 簡易課税でない場合には、前年の実績をもとに自費売上から課税仕入率を控除した割合により消費税を予想して積立を行います。

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