奈良県保険医協会

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決算の準備と対策

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2010年10月】決算の準備と対策

 年末まで3月を切り、本年の決算準備を行う時期が近づきました。何事も早目の対策が肝心。今回は、是非とも検討したい決算対策事項を取り上げます。

30万円未満の器具備品等

 青色申告の届出をしている場合には、1個1組消費税込(税抜経理の場合には税抜)30万円未満の減価償却資産を購入した場合には、年間累計300万円までは、確定申告書に一定の記載をすることを条件に必要経費とすることができます。白色申告の場合には10万円未満となりますので注意が必要です。医療用機器や一般の備品等減価償却資産であれば全てが対象となります。但し、リース資産については支払総額で判定します。年末までに、事業の用に供する事が必要です。

パソコン及び複合機、レセコンソフトなどの税額控除

 青色申告者で、1個1組120万円以上のコンピューターやデジタル複合機(コピーファックス等の内一定のもの)、70万円以上のソフトウエアを購入した場合には、特例適用があります。特例は、取得価額の7%相当額を税額から控除する特別税額控除か、取得価額の30%の減価償却費の割増かのいずれかを選択可能です。通常の場合には税額控除が有利です。特に、レセプトオンライン化のために設備投資をした場合には特例適用の可能性が高いため再度可能性について確認することが重要です。なお、この規定は買取だけでなく割賦販売や一定のリースの場合についても適用され、確定申告書に記載することが条件ですから忘れずに適用を受けましょう。

前払い費用等の活用

 家賃など毎月定額で支払う費用について、年末までに1年以内の先払いをした場合には、短期前払費用として本年分の必要経費とすることが可能です。契約書の変更を行い、月払いの金額は変更せず、支払方法のみ月払いから年払に変更します。

 同様に、社会保険料等についても1年以内の年払をした場合にはその支払った金額が所得控除として所得から控除される取り扱いが定められています。本年に一定の所得がある場合などには積極的に活用すると節税となります。

消費税届出書等の提出

 来年に消費税の課税事業者となる場合には、本年末日までに簡易課税方式か原則課税方式かのいずれかを選択することができます。診療所の場合には一般的には簡易課税方式が有利となる事が多いですが、届出書を提出しなければ簡易課税の適用がありませんので注意が必要です。

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