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新規消費税課税業者の注意点

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2006年1月】新規消費税課税業者の注意点

 平成17年分より自費等の売上高が1000万円を超え、新規に消費税の課税業者となる診療所については、申告上数々の注意点があります。申告までに必ず以下の点を確認しておく事が大切です。

課税事業者となるかどうか再度慎重に判定

 個人診療所が、平成17年分消費税の課税業者となるかどうかは、2年前の平成15年分の自費等の収入金額で判定します。

 平成15年当時、消費税分を上乗せして受け取っていた場合には、その消費税相当分も収入金額に加算して1000万の判定をします。

 但し、平成13年の自費等収入金額が3000万を超えていた場合、その2年後の平成15年は課税業者であった事となります。その場合、平成15年分収入金額は税抜きの金額で判定して良い事になっています。

自費対応経費の計算で消費税が変わる

 簡易課税を選択した診療所以外は、実際に支払った経費や固定資産の購入代金に含まれる消費税(控除対象消費税)を差引きして、申告納付する消費税を計算します。

 この差引く消費税の計算には2通りの方法があります。

 一つめは、自費収入割合(自費等収入金額が保険診療収入を含めた総収入に占める割合)を計算し、年間の支払消費税の合計金額に自費割合を乗じ、自費割合分のみの消費税を差引きして計算する方法です。

 二つ目は、歯科の自費金属や技工外注費、医科の予防注射薬剤等、自費分の経費であると明確に分類できるものは、全額控除し、区分できない経費等は自費割合を乗じて控除する方法です。

 どちらの方法が有利かは、平成18年3月の申告時点で選択が可能です。

 筆者の顧問先診療所では、二つの方法の差額が10万を超える場合もあり、申告に際して是非留意したい点です。尚、自費割合を使用する方法(一括比例配分法)は、一度選択すると最低2年は継続して適用する事が義務付けられています。

消費税振替納税の再確認を

 所得税については、既に預金通帳からの自動引落を選択されている診療所が多いと思います。ただ、新規に消費税の納付について振替納税をしようとする診療所については、別途消費税の振替納税手続きが必要です。これを怠ると納付漏れとなり、無用な罰金や延滞利息が発生しますので、必ず消費税振替納税手続きを実行します。

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