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改正されたふるさと納税制度

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2015年10月】改正されたふるさと納税制度

 ふるさと納税制度は、多くの方が新聞テレビなどで一度は耳にしたことと思います。しかし、実際に利用している人の数は、意外と少なく13万人余(平成25年実績)程度にとどまります。1人当たり寄付額も10万6,000円平均です。

 このふるさと納税制度が、平成27年から改正され、控除額が増額され、確定申告不要の制度が新設されました。

控除制度の仕組み

 寄附をした場合には、もともと「寄附金控除」の制度が定められていました。この「寄付金控除」の制度に、上乗せして「特例控除」ができるようにしたのがふるさと納税制度です。

 この「特例控除」を含めると、限度額までの寄付については、2,000円を除き寄附をした金額の全額が控除されることになります。寄附金から控除額を差引すると、納税者は、2,000円のみ寄付をしたことになる制度です。

 なお、国税は確定申告上で控除しますが、住民税は5月頃の住民税通知書上で本来の税額から控除されます。

限度額と特典品に対する課税

 寄付金控除額については限度額が設けられています。「特例控除」額については、昨年までは住民税額の10%が上限であったところが、平成27年の寄付からは20%に拡充されています。この改正の効果により既に昨年を上回るふるさと納税が行われているようです。

 このふるさと納税については、自治体ごとに「お礼品」と称する特典品が送付される場合があります。この特典品については、税法上一時所得に該当するため申告が必要です。しかし、一時所得については、特別控除額50万円があるため、他に一時所得がない場合、特典の年間合計額が50万円の範囲内であれば申告不要です。

申告方法

 確定申告に必要な書類は、寄付先自治体発行の「受領証明書」です。電子申告で確定申告する場合を除き、受領証明書を申告書に添付する必要があります。国税庁ホームページなどでは、申告書記載方法などを動画等で説明していますので、自分で作成する場合には参考にされると良いでしょう。

 平成27年4月以降の寄付については、確定申告不要制度を利用することができます。条件は、給与所得のみで年末調整済であること、ふるさと納税は5か所以内であること、あらかじめ「申告特例申請書」を寄付先自治体に提出していることなどです。診療所を経営する事業主の場合は、事業所得を申告する必要がありますからこの制度を利用することはできません。

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