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家事関連費の会計と税務

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2005年6月】家事関連費の会計と税務

 個人開業医の会計税務を考える上で家事関連費については、必要経費となるかどうかの判断を迫られる場合が多々存在します。今回は、その判断の基準とは何かを検討します。

区分できない家事関連費は必要経費とならない

 所得税法では、衣食住など個人の消費生活活動に関する支出(家事費)やこれに関連する支出(家事関連費)は必要経費としないと定めています。

 但し、事業と家事に共通の経費(家事関連費)については、業務上必要な部分を「明確」に区分できる場合に限り必要経費とすることが出来るとしています。つまり、「区分」できるかどうかが判断の分れ目となります。

自宅兼診療所の区分

 診療所部分と自宅部分は通常は明確に区分が可能です。しかし、共用するスタッフルームや倉庫などは必ずしも明確に区分できない場合があります。併用部分については実務上、使用実態を基礎として事業供用割合を決定して必要経費とします。しかし、あくまで明確に区分されることが判断の基準である事を念頭に置き、可能な限り事業部分を明瞭に区分し不用意な併用や混用は避けるのが賢明です。

車両や器具備品等

 往診と自家用に併用する車両や事業用と家事用に併用するパソコンなどは、性質上区分が困難な場合が殆どです。車両の場合には、使用履歴を説明できる通勤使用歴や往診歴を残す、パソコンの場合にも日常の用途を説明できる事が必要です。また、ガソリン代その他の車両費全般についても同様の判断が必要です。

接待交際費

 接待交際費は、その必要性と目的、接待の相手先、金額や頻度が判断の基準となります。特に親族等や同僚の医師などに対する贈答接待などは、税務調査の際に常に問題となります。

 調査官によれば、医師に接待交際費は不要と豪語する場合も見受けられます。患者紹介の事歴の有無、医療上の必要性を検討し、経費計上について一定の基準を持つ事が重要です。

研修費や研究費など

 治療技術の向上等のためには一定の研修費研究費は不可欠であり当然必要経費とする事が可能です。然しながら、医業に直接関係のない一般教養や他の資格取得のための費用などは家事費として否認される可能性があります。このような経費は如何に治療との関連性を説明できるかがポイントとなります。また子弟の入学金や学費などはまず必要経費とならない点に留意します。

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