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妻の年収が多いと遺族年金は支給されない?

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

妻の年収が多いと遺族年金は支給されない?
【2013年3月】


 友人の勤務医が亡くなりました。ところが奥さんの年収が多すぎるということで遺族年金は支給されないということでした。年収がいくらだと遺族年金は支給されないのですか。

A
 今のところ、年収が850万円(所得金額だと655万5千円)以上ですと遺族年金は支給されません。その奥さんはどんなお仕事ですか。


 開業医です。

A
 そうすると当分の間、年収850万円以上が続くとみなされ、遺族年金が支給されないということになったのです。


 しかし、何年か前に亡くなった友人の奥さんは勤務薬剤師で年収が1000万円以上ありましたが、遺族年金は支給されました。これはどうしてですか。

A
 その奥さんはおいくつでしたか。


 正確にはわかりませんが50歳代後半でした。

A
 恐らく、その病院の薬剤師の定年は当時60歳だったのでしょう。そうすると5年以内に定年で退職することがはっきりしています。おおむね5年以内に年収が850万円未満になる場合は支給の対象とされています。このようなときは定年が記載された就業規則などの写しを添付して遺族年金を請求することがよくあります。


 私のところは医療法人で妻が事務長をしています。年収は850万円以上です。私にもしものことがあった場合、妻は事務長をやめ他の人に事務長職を譲ると思います。そうすると、当然年収は850万円未満になると思いますが、この場合遺族年金はどうなりますか。

A
 5年以内に年収が850万円未満になるから遣族年金を受けられそうなものですが、当局の見解ではこの場合は受けられないと言っています。


 どうしてですか。

A
 その人が亡くなったことが原因で年収が下がったとしても遺族年金は支給されないというのです。ある中小企業でのことですが、そこは社長あっての会社でした。社長が亡くなったことが原因で会社の業績は落ち、その奥さんの年収も850万円未満に下がりました。年金事務所へ遺族年金を請求しましたが、このような理由ではだめということになりました。しかしながら、夫が死亡後無収入になった妻に遺族年金が支給されたこともありますから、すぐにあきらめないでよく相談することが大切だと思います。


 それでは遺族年金を受けていた人が、たとえば薬局を開業して業績が上がり年収850万円以上になった場合はどうですか。

A
 その場合は年収850万円以上になっても遺族年金は支給されます。


 人間いつ死ぬかわかりませんから対策といっても難しいですね。

A
 これは人によって意見が分かれるところですが、中小企業の社長が末期がんと言われたのにともない、奥さんである専務の年収を800万円にして遣族年金を受けた事例もあります。

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