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契約更新を繰り返してきたパートも5/を超えると無期契約になる

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

契約更新を繰り返してきたパートも5年を超えると無期契約になる
【2013年2月】


  これまで契約更新を繰り返してきたパートも、今度から5年を超えると期間の定めのない社員になるということですが、私の診療所にもすでに5年を超えているパートの方がいます。この場合、正社員にしなければいけないのですか。

A
  パートを正社員にするのではなく、期間の定めのない契約になるということで、パートの方はパートのままでいいのです。したがって、雇用期間以外は今までどおりの労働条件で構いません。


  すると今度からは契約更新の手続きはしても仕方がないということですか。

A
  期間の定めのある有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合、労働者の申し込みにより無期労働契約に転換されたとみなされますから、無期労働契約に移行した場合はそういうことが言えます。


  では労働契約を結びなおすことになりますか。

A
  無期労働契約になった場合は今後のトラブルを避けるために必要ですが、この法律が施行されるのは2013年4月1日で、5年の起算日はそれからとなります。無期労働契約に転換するのは5年を超えて新たな更新契約をしてからですから、5~6年先となります。


  そうすると急いで就業規則を変えたりすることもないですね。

A
  そうです。


  有期契約労働者が無期労働契約にするよう申し込みをした場合、断ることができないのですか。

A
  有期契約労働者が無期労働契約への転換を申し込むことができる権利を「無期転換申込み権」といいますが無期転換申込みをした時点で無期労働契約を使用者が承諾したものと「みなされます」から断ることはできません。


  「みなす」ですか。

A
  そうです。「みなす」とされた以上、当事者が異なる事実を主張することが許されないとされています。


  今回なぜこのような法改正が行われたのでしょうか。

A
  非正規労働者が35%に増加し、年収200万円以下の労働者が1000万人を超えているなど社会問題が起きているためと思います。無期転換ルールは法制化されている国も多く、日本の「5年」は異常に長いようです。それに先進国では有期労働契約にも厳しい条件があります。どんな労働でもできるわけではなく、葡萄酒の製造などある季節の一時的な期間だけとか、産休で休んでいる人の補充とか、限られた場合だけ有期雇用が認められています。やはり景気回復のためには正社員の比率を増やし、働く人が安心できるようにすることが大切だと思います。

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