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増改築と住宅税制

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2010年2月】増改築と住宅税制

 少子高齢化もあり住宅の着工件数は45年ぶりに80万戸割れが報じられています。筆者のもとには、リフォーム増改築に関する相談が確実に増加しています。自宅や診療所の増改築について、最近寄せられた増改築に関わる税務相談事例を解説します。

注意すべき贈与課税

  「増改築した場合に贈与税が課税される場合があります」と返答するとほとんどの人が怪訝な顔をされます。例えば、登記上親の所有財産である建物に、子が資金を出して増改築をした場合には、その増改築部分は親の財産と一体となります。結果的に子から親に増改築資金を贈与したことになり贈与税が課税されるというものです。これは民法に規定がある附合という考え方によるもの。子が行った増改築部分が親の所有権と一体となり混合してしまうことによる課税問題です。

  診療所や自宅の増改築に際してはまずこの贈与税課税がないかどうか、つまり建物所有者と増改築資金提供者が同一かどうかに注意します。仮に1000万円の増改築に贈与税が課税されると税額は231万円となります。些細な事では済まない税額です。

贈与課税されないために

  建物が古く固定資産税評価額が低い場合には親から子へ建物の名義を贈与する方法があります。増築の場合には、増築部分を母屋と切り離して別棟として登記する方法も考えられます。これらの方法が不可能な場合には住宅資金を貸付とし親から返済を受ける方法、住宅資金に相当する建物の登記名義を持ち分で子が買取る方法などがあります。増改築が高額となる場合には是非専門家と相談することをお勧めします。

増改築でも住宅減税が可能に

  100万円以上の増改築工事で一定の証明を受け自己の居住に供するものについて増改築を行った場合は借入金額の1%について住宅取得特別税額控除を受けることが可能です。さらに平成21年税制改正で、住宅ローン等を利用していない場合であっても、住宅についてバリアフリー改修工事や省エネ改修工事をした場合には、「住宅特定改修特別税額控除」及び「認定長期優良住宅新築等特別税額控除」が受けられる制度が創設されました。

  いずれも居住用に限られ所得が3000万円以下の年に限られますが、自宅兼診療所の場合など有利な適用を検討してみると良いでしょう。

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