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国民年金「後納制度」で年金額アップ・新たな受給資格

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

国民年金「後納制度」で年金額アップ・新たな受給資格
【2012年10月】


 友人は65歳から老齢年金を受けると言っています。私は年金をあてにしていなかったので開業以来年金にほとんど加入しませんでした。今思うと年金があるといいですね。

A
 年金を簡単にあきらめることはありませんよ。先生は今、おいくつですか。


 昭和23年生まれで64歳です。

A
 年金にはまったく加入しなかったのですか。


 大学を出た後5年ほど民間病院に勤めたことはあります。その時は厚生年金に加入していたと思いますが開業以来一度も国民年金には加入していません。

A
 実は今年(2012年)の10月から2015年9月までの3年間に限り過去10年の国民年金の納め忘れの期間があれば遡って納めることができる制度(「後納制度」と言います)ができました。


 私の場合は5年しか厚生年金に加入していませんから無理ですか。

A
 単純にあきらめることはありません。老齢年金を受給するには25年の期間が必要ですが、いろいろな期間が合算対象期間になります。日本に住所を有する20歳から60歳までの人は基本的に国民年金に加入しなければなりません。しかし、1991年までは学生は国民年金は任意加入でした。この期間は「カラ期間」(年金額には反映しないが期間にはカウントされる期間)になります。先生の場合20歳以降の学生の期間はありますか。


 私は、2浪して大学に入りさらに大学院に行きましたから10年あります。

A
 結婚されたのはいつですか。その時奥さんは勤めていましたか。


 私が勤めた時ですから30歳です。この時は民間病院で看護師として働いていました。

A
 開業した時はどうでしたか。


 まだ勤めていました。1991年から私の診療所で働くようになりました。

A
 1986年3月までは厚生年金・共済組合に加入している人の配偶者は国民年金の加入は任意でしたからこの期間も「カラ期間」になります。そうすると年金の合算対象期間は、学生の期間が10年、厚生年金の期間が5年、奥さんが厚生年金に加入していて1986年までの期間が4年で、計19年になります。


 ではこれから国民年金の保険料を10年遡って納めれば期間は29年になり年金も受け取れますね。

A
 いいえ、60歳からは国民年金は任意ですから60歳から64歳までは遡って納めることはできません。60歳になるまでの6年分しか納めることができません。さらに65歳になるまで国民年金を納めることができます。それでも25年以上になりますから年金は受け取れるようになります。厚生年金の5年分は合算対象期間が25年になった時点ですぐに受け取れます。国民年金を納めた分については65歳から受け取れます。


 保険料額は当時の保険料額で納めるのですか。

A
 いいえ。10年前の保険料は13,300円ですから最高月額1,640円から180円の加算額がつきます。税金上は遡って納めた保険料は全額その年の損金になります。

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