奈良県保険医協会

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医療の市場化拡大で国民皆保険制度の崩壊へと向かうTPPへの参加には強く反対する

〈見解〉
医療の市場化拡大で国民皆保険制度の崩壊へと向かうTPPへの参加には強く反対する

2011年2月17日

奈良県保険医協会
2011年度第3回定例理事会

 政府は昨年11月9日、「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定し、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加に向けた協議を始め、その判断を今年6月をめどに行うとしている。菅直人首相は「平成の開国」と述べてTPP参加を前提に協議を進める姿勢を強めている。

 TPPへの参加は国内の農業に壊滅的な影響を与えるなどの指摘があるが、医療の分野においても重大な懸念がある。
 政府は「新成長戦略」において、医療の「成長牽引産業」化と「国際交流」推進を決定し、その実現をめざしている。「海外の優れた経営資源を取り込む」ことや、「看護師・介護福祉士等の海外からの人の移動」を掲げ、それを「規制改革」と「総合特区制度」で後押しして、具体化する方針である。
 政府の行政刷新会議「規制・制度改革分科会」は1月26日に「規制改革」の中間取りまとめを了承した。「事前規制から事後チェック行政への転換を図る」ことを求め、「改革の方向性」と・ 靴董◆峺・・欷韻療・冏楼呂鮑督蟲舛垢襪海箸・・廖廚箸掘◆峭餾欅緡展鯲・砲茲覲姐饋祐擬圈・昌・圓亮・影・譟廚覆匹魑鵑押・鎚鵡猝椶任蓮・貭蠅両魴鏖爾如・緡屠/佑悗両衢抄眷枦・箟塚・覿箸量鮨Π・・緡屠/楊魄・箸覆襪海箸鯒Г瓩襦・貳麺儖緻・覆離ぅ鵐拭璽優奪氾刕稜箋・・療映僉△覆匹魑鵑欧討い襦・/p>

 海外から「人」や「経営資源」が国内に参入すれば、我が国の医療に市場原理が持ち込まれ、外国資本が経営に参画した医療法人・医療機関が広がり、原則禁止の混合診療が拡大・解禁されるという事態が懸念される。
 医療ツーリズムによって、自費で高額の治療費を支払う外国人富裕層の受け入れを推し進めると、利益追求のための患者の選別や、医師・看護師の過度の確保・集中を招くおそれもあり、地域医療の崩壊に拍車をかける。
 営利資本が医療法人経営に参画し配当を認めれば、医療の非営利性は損なわれる。
 副作用リスクが高い医薬品のインターネット販売を禁止し、薬剤師等が常駐する対面販売を義務付けるなどの規制を撤廃することは、利便性向上のうたい文句の影で、医薬品の安全な使用より、利益追求を優先させることになる。
 医療の市場化は、命や健康の商品化 であり、社会保障としての医療制度(国民皆保険制度)をお金のあるなしで左右される医療制度へと大きく舵を切ることを意味する。

 公的医療費抑制と医療の市場化拡大によって、国民皆保険制度の崩壊へと向かうTPPへの参加には、強く反対する。

以上


見解

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