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医業でも適用される所得拡大促進税制

経営に役立てる医院の会計と税務 税理士 西村 博史

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【2014年6月】医業でも適用される所得拡大促進税制

 平成26年分所得より適用される所得拡大促進税制は、平成25年比で増加した給与の20%が税額から直接控除される制度です。医業についても適用されますので、多くの診療所、医療法人が適用対象となると予想されます。

3つの条件のみ

 この特例は、青色申告者のみに適用されます。①平成25年分給与総額に比較して給与が2%以上増加していること、②前年に比較して給与が増加していること、③1人当たり給与が増加していることの3つの条件が必要です。

平成25年分と比較

 第1の条件は、基準年度とされる平成25年分給与と、適用初年度である平成26年分給与を比較して、給与が2%以上増加していることです。

 平成27年以後も、平成25年給与と比較していくら給与が増加したかを基に控除額の計算を行います。

 専従者や役員などへの給与、退職金などは含まれません。雇用保険に加入していない従業員給与や賞与も適用対象となり、さらに、非課税とされる通勤手当も対象となる点に注意します。

前年の給与総額と比較

 所得拡大促進税制は、平成26年から5年間が対象年度となる時限立法です。第1の条件は、平成25年度と比較しますが、第2の条件は、前年と比較して給与が増加している事です。たとえ1円でも前年以上であれば良く、割合や金額は問われません。

前年の1人当たり平均給与と比較

 年の途中の新規採用者や退職者を除く継続雇用者に対する給与を、これらの従業員の月別合計人数で割った1人当たり平均給与を計算します。平均給与が前年以上であることが条件です。

途中開業の場合は有利判定

 基準年度である平成25年の途中で開業した場合、給与を支給した月数を年間換算した金額の70%が基準年度の給与となります。

 また、本特例は、事業主都合による離職者がいる場合にも適用される点が類似する「雇用促進税制」と異なる点です。

 基準年度3年目からは3%、4年目からは5%と増加給与割合が変化します。平成25年分については、2%の給与増加で事実上適用される本規定について、適用漏れのないように注意が必要です。

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