奈良県保険医協会

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医師も患者もともに悲しむ未来はいらない~2006年医療抜本「改革」を阻止し、日本の医療を守ろう

医師も患者もともに悲しむ未来はいらない~2006年医療抜本「改革」を阻止し、日本の医療を守ろう

 2002年の老人医療定率負担化、03年のサラリーマン本人の3割負担化などで、深刻な受診抑制が生じた。診療報酬は引き下げられ、医院経営も厳しくなっている。良い医療を行おうとするほど、診療が成り立たなくなってしまう。
 医療費は患者負担の増加などにより、02年度は減少に転じた。政府・財界はその上さらに医療費を無理矢理削減しようとしている。財務省の税制調査会で、経済学者が「開業医の収入が多すぎる」と述べるなど、開業医への向かい風は強さを増していく一方だ。
 来年、06年には診療報酬改定と介護報酬改定が予定されている。診療報酬は規模も影響も近年になく大きな改定になるだろうと言われている。健保法等の改定も具体化される。老人医療制度の作り直し(高齢者全員から新たに保険料を徴収し、一部負担金は2割または3割へと引き上げなど)、政管健保と国民健康保険の再編、昨年の閣僚合意にもとづく「混合診療」の事実上の導入などが含まれる。
 さらには、ある一定金額までは保険給付しない「免責制度」の導入、疾病や薬剤によっては保険はずしも、と、あらゆる保険給付削減策が議論されている。
 これでは医療から遠ざけられる患者さんがい・ 辰修α・┐襦・△隆擬圓気鵑癲△海凌佑癲帖5い砲覆詈・・匹凌芭貼蠅砲發・蕕譴襪里任呂覆い・・br> 財務省は、潜在的国民負担率([社会保険料負担+税負担+財政赤字]/国民所得)を将来にわたり50%程度に維持する必要があるとし、そのために社会保障費毎年7500億円を、05年度から25年度まで21年間かけて15兆7500億円削減する必要があると試算した。03年に、健保等本人が3割に改悪された時の財政効果が約7500億円だったというから、それほどの痛手を毎年被らせようとするのか。もうこれ以上患者負担を増やせないとなれば、次は保険はずし、特定療養費拡大・混合診療で保険医療は抑えられていく。
 医院経営の悪化は種々の調査に現れ、体感もしている。その上に今度の医療改悪が2006年いっせいに行われようとしている。それが最も悪い方向にすすんだ場合、医療機関の保険収入が、5年後には25%、10年後には50%減る予測をたてた医師もいる。
 まさに開業医の医療が破壊され、地域医療もなくなってしまう。国民皆保険が崩壊して民間の保険会社に頼り、いよいよアメリカ型の医療に転換してしまう。
 医師も患者も喜べる制度を…と、保険医協会では主張し、行動してきた。

【奈良保険医新聞第277号(2005年7月10日発行)より】

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