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労働基準監督署が労働条件調査

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

労働基準監督署が労働条件調査
【2016年8月】


 労働基準監督署から「労働条件に関する調査の実施について」という文書が届きました。事業所の代表者か労務担当責任者が労働基準監督署に来るようにということですが、何を調べるのでしょうか。


 労基署から来た文書に持参する書類が書いてありませんか。


 はい、あります。①就業規則②時間外・休日労働協定(36協定控え)③労働者名簿④労働条件通知書または雇用契約書⑤健康診断実施記録⑥賃金台帳(直近3力月分)⑦タイムカードなど労働時間が確認できる記録などと書いてあります。


 今回の調査はもっとも基本的な調査で労働基準法が守られているかどうかの調査です。労働基準法は最低の基準ですからそれをチェックするのです。


 職員が何か通報したのでしょうか。


 労基署が調査に来ることを臨検と言い①定期監督②災害調査③災害時監督④申告監督⑤災害監督などがあります。労働基準監督官には守秘義務があり、労働者の申告に基づいて行う申告監督か、一般的な定期監督かは区別がつきません。犯人捜しなどせずに、労働条件見直しのチャンスととらえ監督官からいろいろ教えてもらうと良いと思います。


 これまで労使トラブルもなく、就業規則も10年以上前に作ったものがあるだけです。それに36(サブロク)協定などありません。


 先生のところは、残業はありませんか。


 たまに患者さんの都合で遅くなることがあります。でも残業手当は支払っていますよ。


 実は労働基準法で時間外労働は「6力月以下の懲役または30万円以下の罰金」となっています。ただ36協定(労基法36条に基づく「時間外労働・休日労働に関する協定届」)を提出しておけば罰せられないことになっています。残業代を支払っていても36協定なしには罰金刑になる可能性はあります。


 労働条件通知書などありません。労働条件はほとんど口頭で知らせます。


 労働契約締結の際は労基法等で、書面で明示しなければならないことになっています。最近の調査では労働条件の書類による明示が強調されています。特にパート・アルバイトには必ず書面を渡すようにしてください(書式は各労働局のホームページでダウンロードできます)。


 残業代の未払いがあるかどうか心配です。


 残業代については1時間単価をどうやって算出しているかどうかが大切です。通常は年間の1力月平均所定労働時間で基本給、資格手当などを除して算出します。一般の企業では1力月の平均所定労働時間を173時間に設定できます。つまり1年間は約52週ですから52週×40時間÷12月=173.333時間/月となります。ある診療所では休日は日・木曜日、通常勤務は7時間、土曜日4時間となっていたため、平均所定労働時間が138時間となり、時間単価が高くなるため、全員の同意を得て見直すよう勧めました。今回、仮に未払い残業代を支払うように言われても、賃金台帳3力月分を持参するようにということですから、 3力月分だけです。

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