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働く女性の能力を生かすには夫の労働時間短縮が必要

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

働く女性の能力を生かすには夫の労働時間短縮が必要
【2015年7月】


 育児休業を取っていた職員が復帰しました。能力のある職員なので期待していますが、子どもが熱を出すなどして保育園から電話が来ます。早く帰るのは致し方がないのですが、この場合、夫は少しぐらい協力できないのでしょうか。


 イクメン(育児をする男性)などが話題になり育児に時間を割く男性の話がニュースになったりしますが、多くはまだまだ遅れたままです。私の周りでも結局育児では女性にしわ寄せが来ています。厚生労働省もワークライフ・バランス推進を呼びかけていますが、はかばかしい改善はありません。


 そのしわ寄せが私ども零細の診療所に来るのは納得できません。


 その方が早く帰ってもいいような働き方を組むのは難しいのですか。


 それができれば苦労はありません。


 ほかのスタッフの協力はどうですか。


 まだ経験が浅く彼女の代わりは難しいと思います。


 そうかもしれませんが、このような時こそある意味では後に続く人の成長のチャンスでもあります。仕事の割り振りなど見直すことで何か解決方法がないか検討することも大切だと思います。やらなくていい仕事を習慣でやっていたなどということもあります。実際ある企業では幹部を2週間休ませ、その間、幹部候補にその幹部の仕事をさせ、幹部にはメールも電話も一切禁止しているところがあります。そうすることで、次の幹部の成長を促しているところもあります。


 それにしても大企業のエリートの長時間労働は何とかならないのですかね。


 金融機関や保険会社などでは一時より労働時間短縮が進んだとはいえ、まだまだ長時間労働が日常化しています。特に正社員の労働時間は増加傾向にあります。労働組合もどういうわけか賃上げばかりで労働時間短縮の声は弱いと思います。


 成果で賃金を払うとする政府の案で労働時間短縮になりますかね。


 政府は年収1075万円以上で①会社にいる時間の上限規制②勤務と勤務の間に例えば11時間インターバルを置く③年104日の休日取得のいずれかの実施を条件に「残業代ゼロ制度」導入を検討していますが、これでは労働時間短縮につながらないと思います。むしろ労働時間は長くなると思います。財界の大物で歯に衣着せぬ発言で有名な伊藤忠商事前会長の丹羽宇一朗氏は「残業をいくらやろうと知ったことではない、となると悪用する経営者がいる。私は悪用しちゃいかんと言っている」「一番良いのは残業を全部禁止すること。禁止すれば(経営者は)人間を増やして仕事が回るようにする」と指摘していました。


 それでも男性正社員の労働時間を短縮して女性の能力が発揮されるようになるのは大変ですね。


 私は労働時間短縮こそ女性の能力発展のカギだと思います。啄木流にいえば「ありあまる才を抱きて夫(ツマ)のため思いわずらふ友を悲しむ」。こういった女性をなくしたいものです。(注:啄木の元歌は「夫」ではなく「妻」)

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