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傘さし自転車運転で通勤中に事故。労災保険の給付は?

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

傘さし自転車運転で通勤中に事故。労災保険の給付は?
【2015年10月】


 以前この欄で「傘さし自転車運転」で通勤中に怪我をしても労災保険から給付があると回答がありました。道路交通法が改正され自転車の危険行為に対する取り締まりが厳しくなりました。事故の時、本当に労災保険はおりますか。


 労働基準監督署によれば、通常であれば労災給付はあるということでした。ただ、故意過失の程度がひどいと支給制限があるということです。道路交通法の改正でもともと禁止されていた、携帯電話やスマホを使用しながらの運転、イヤホンやヘッドホンで音楽を聞きながらの運転、傘をさしての運転などについて労働基準監督署の対応も厳しくなるかもしれません。


 職員の中にはイヤホンをつけて自転車運転する者もいます。これなども危険運転になると思いますが、はっきり禁止した方がいいでしょうか。


 片耳だから違反にならないなどと言う人もいますが、もともと安全運転義務違反ですからやめさせるべきでしょう。最近では自転車で加害者になったときの高額な賠償金を命じる判決が相次いでいます。坂道を猛スピードで下り、歩いていた60代の女性と衝突して女性は寝たきりの状態になった事例などは、損害賠償額が9500万円にもなりました。


 そのような場合、事業主も責任はあるのでしょうか。


 マイカー通勤と同じで、その自転車を業務に使ったりしていると事業主責任も生じ、被害者から事業主も損害賠償請求の可能性も出てきます。


 通常はバス通勤で、天気のいい時だけ自転車で通勤する職員がいます。こちらにはバスで通勤すると届け、通勤費も支払っています。たまたま自転車で通勤した時に事故でけがした場合、労災保険はどうなるのでしょうか。


 通勤とは「労働者が就業に関し、 ①住居と就業の場所との往復、 ②就業場所から別な勤め先の場所への移動を合理的な経路および方法により」行うことをいいます。したがってたまたま自転車で通勤するにしても、とんでもない寄り道をするとかでなければ合理的な経路方法であれば労災給付はあります。いずれにしろ日本では自転車レーンなどが整備されていません。自転車事故の可能性は増大すると思います。


 自転車通勤を禁止することは、うちの診療所ではできません。自動車運転に伴う通勤災害は可能性があります。私のところのように小規模の診療所でどのような対策が考えられますか。


 自転車運転通勤もマイカー通勤と同様「自転車通勤規程」を作成し従業員に徹底することが必要です。

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