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人手不足の中、職員から知人を紹介してもらうことにしたが

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

人手不足の中、職員から知人を紹介してもらうことにしたが
【2017年12月】


 私の知り合いの診療所が人材紹介会社の紹介で看護師を雇用したところ、その看護師がすぐに退職してしまい多額の紹介料が無駄になってしまったことがあります。そこでうちの診療所では、職員に友人を紹介してもらい、採用に至った場合報奨金を支払うことにしたのですが報奨金の額はどのくらいがいいでしょうか。


 その前にこの「職員紹介報奨金制度」は注意しないと職業安定法40条違反になる危険性があります。


 どういうことですか。


 戦前の口入れ稼業などの教訓から「人を紹介して金銭を得る」ことは原則禁止とされています。労働基準法でも「何人(なにびと)も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」とされています。


 全国紙で社員紹介の入社を「リファーラル採用」と言って好意的に紹介していましたがこれは問題なのですか。


 おそらくハローワークや労働基準監督署ともよく相談して、違法性を回避して制度を構築していると思います。


 このような制度を導入するには、どこを注意すればいいのですか。


 報酬の支払い方です。職業安定法を素直に読めば「賃金、給料その他これに準ずるもの(として紹介料)を支払う場合」は、違法性はないことになります。従ってもしも「社員紹介報奨金制度」を導入するのであれば賃金規程を改定する必要があります。


 そうすると、職員に「紹介した人を採用した場合はいくら払う」と知らせただけでは違法性の恐れがあるということですね。


 そうです。賃金規程を改定し、労基署に届けておけばリスクはかなり少なくなります。賃金規程に「職員にふさわしい職員を紹介し採用に至った場合は紹介手当を支給する」などの文言を追加する必要があります。


 紹介料はどのくらいが相場ですか。


 先日全国紙で紹介された会社は10万円でした。このくらいの額でも成功している企業があります。あまり高額にならないことが大切です。


 看護師など年収の30%ほど要求する人材紹介会社があります。それと比べるとずいぶん安いですね。大丈夫でしょうか。


 一般的に知人を自分の勤めている職場に紹介しようという人は、自分の職場に満足している人です。そういう職員であれば、人材紹介会社が要求するほどの高額な紹介料を支払わなくても満足してくれると思います。それと同時に私は人事の8割は採用だと思っています。「トラブルを起こした社員についてこのようなトラブルを起こす人だと、採用の時、分からなかったのですか」と聞くと「実は心配だった。だけどこの人手不足の中仕方がなかった」という返事をよく聞きます。職員任せにせず採用で妥協しないことも大切だと思います。

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