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パート職員から「有休をとってから辞めたい」と言われた

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

パート職員から「有休をとってから辞めたい」と言われた
【2017年8月】


 退職を希望しているパートの職員が「有給休暇を取ってから辞める」と言ってきました。これまで、当院ではパートには有給休暇を与えておりません。どうしても有給休暇を与えなければいけないのでしょうか。


 有給休暇は労働基準法で義務付けられていますから与えなければなりません。


 この職員は10年勤務しましたが、週2日しか来てないのですよ。それでも与えなければいけないのでしょうか。


 週2日しか勤務しない方でも、 6年6ヵ月以上で年間7日の有給休暇の権利が発生します。有給休暇の時効は2年です。これまで有給休暇を取ったことがなければその方は14日の有給休暇の権利があります。


 それでは退職の時14日分の賃金を支払うということですか。


 単純にそれでいいと言うことになりません。「休暇」と「休日」の違いを押さえておく必要があります。


 「休暇」と「休日」は同じことではないのですか。私のところは年末・年始とお盆は休暇にして休ませていますよ。


 法的には休日はもともと「労働義務のない日」です。休暇は労働義務のある日に「労働を免除」する日です。簡単に言えば労働義務のない「休日」に「休暇」を取ることはできないのです。


 この職員は来月いっぱいで辞めると言っています。今から休んでも所定労働日に有給休暇を取りきれません。それに引き継ぎもしないで退職されても困ります。


 退職日を延長してもらうか、本来は好ましくありませんが有給休暇相当分を支払うことで合意することです。


 有給の買い取りはいけないのでしょう。


 法律上、有給休暇の買い取りはできません。有給休暇は勤めているからこそ権利があります。ところが、退職すると権利はなくなるので、権利の無くなったものを買い取ることは違法ではないということになります。本来はこれらの条件を退職合意書に記載し今後のトラブルを防ぐ必要があります。退職合意書の見本は曽我社会保険労務士事務所のウェブサイト(http://www.sogaoffice.jp/)からダウンロードすることができます。


 1年前に退職した人から買い取ってほしいと言われたらどうすればいいのですか。


 「法的には有給休暇は勤務しているからこそ権利があります。あなたは退職していますからその権利がありません」と突っぱねることもできます。


 それではかわいそうな気もします。


 そもそも、日本の労働者の有給休暇取得率は大企業も含めて、わずか50%未満です。ヨーロッパでは取得率という考え方はありません。100%が当たり前だからです。有給休暇が当たり前に取れる経営環境にしたいものです。それでこそ優秀な社員も定着してくれます。

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