奈良県保険医協会

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パートも雇用保険・社会保険に加入させるのか

雇用問題Q&A 社会保険労務士 曽我 浩

 「月刊保団連」の好評連載記事から、著者および発行元の許可を得て転載して紹介します。
 なお、ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。関係法令の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

パートも雇用保険・社会保険に加入させるのか
【2010年8月】


 パートの職員を雇用しようと思ってますが雇用保険・社会保険は加入させなければいけないのでしょうか。

A
 パートの方は1週間にどのくらいの時間働くのでしょうか。


 1日5時間で週25時間です。

A
 そうすると、社会保険は加入させる必要はありませんが、雇用保険には加入させなければなりません。


 パートでも雇用保険に加入させるのですか。

A
 以前は1年以上雇用する見込みのない短時間就労者(1週間の所定労働時間が40時間に満たないもの)は雇用保険に加入させる必要はありませんでしたが、現在では1ヵ月以上雇用する見込みのある人は雇用保険に加入させなければならなくなりました。短期で職場を転々とせざるを得ない人が雇用保険を受けられるようにしようということで設けられれた制度です。


 そうすると3カ月契約のパートでも雇用保険に加入させなければいけないということですか。

A
 そうです。


 私の診療所には1週間に3日来る女性医師がいます。1日8時間が所定労働時間ですから、この医師も雇用保険に加入させることになりますか。

A
 そうです。本人の意思にかかわらず強制加入になります。


 給料もかなり高く保険料の負担も大変です。それに医師が失業給付を受けることもないと思いますが。

A
 将来失業給付を受けるかどうかに関係なく雇用保険は加入させなければなりません。以前数人の医師を雇用保険に加入させていないとして2年間遡って数百万円の雇用保険料を支払うように労働局から指導された医療機関がありました。それに失業給付を受けなくてもその女性医師の方が出産したときなど育児休業給付を受けることができますから、まったく無駄になることはないと思います。


 パートでせっかく採用したのにすぐやめてしまう人がいます。雇用保険の手続きが大変です。

A
 そのようなこともありますが雇用保険の資格取得手続きは加入した月の翌月10日までにすればいいことになっています。


 退職する職員が早く失業給付を受けたいので退職理由を解雇にしてくれといってきています。退職理由を解雇にすると何か問題がありますか。

A
 事実のとおりにすることが大切です。実際はどういう理由で退職したのですか。


 あまりにもミスが多いので辞めてくれといったのです。当人は事実上の解雇だといっているのです。

A
 それならば勧奨による退職です。離職理由は「退職勧奨」にすればいいです。そうすると解雇とまったく同じように失業給付を受けることができます。一般的に退職させるときは採用の10倍エネルギーが要るといわれています。退職時をめぐるトラブルを防ぐためにも退職届を提出してもらい本人の都合か事業主の都合か明確にしておくことが大切です。


 社会保険はどのくらいの収入になると加入させるのですか。

A
 社会保険に加入させるかどうかの基準は収入ではありません。労働時間です。先生のところの一般職員の概ね4分の3以上働く人は社会保険に加入させなければなりません。


 そうすると週3日働く医師の月収が数10万円になっても社会保険に加入させなくていいのですか。

A
 そうです。逆に月収が10万円そこそこの方でも労働時間が通常の労働者の概ね4分の3以上働く場合は社会保険に加入させなければなりません。

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