奈良県保険医協会

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デフレ、不況時の増税は危険―消費税増税は中止、医療はゼロ税率を適用せよ

消費税増税を含む社会保障・税一体改革法案が衆議院本会議で可決され、参議院でも可決成立が目論まれている。民自公の3党合意により、与党が「一体」としていた社会保障分野の最低保障年金制度、後期高齢者医療制度に代わる新制度創設などの当初案は事実上撤回され、高額所得者への所得税や相続税の強化なども削除された。新たに提出された「社会保障制度改革推進法案」は社会保障の公的責任を縮小し、「自助」「自立」を基本とする中身であり、国民に知らされないままこのような重要な法案が通されようとしている。
 そもそも消費税は、所得の低い者ほど負担が大きい逆進性が強い税制である。このデフレ不況の時代に大増税を強行すれば震災復興の妨げになるばかりではなく、消費が落ち込み国内総生産(GDP)が減り結局税収も減少する悪循環に陥ってしまうことが、一九九七年の消費税増税と橋本構造改革の失敗などからも明らかである。
 中小零細業者が消費税を価格に転嫁できず、消費税率が10%になれば倒産してしまうという声が上がっているが、医 療機関も診療報酬は非課税であり、医薬品や医療機器などの仕入れにかかる消費税をそのまま患者に転嫁できない。一般診療所でも年間数十万から数百万、病院では数千万から数億円の損税が発生しているという。
 政府は消費税の導入・引き上げ時の際、合わせて診療報酬に1.53%を上乗せしたというが実際は数千におよぶ医療行為の項目のうちわずか50項目前後上乗せしたにすぎず、以降の改定で減点、消滅、他の点数への包括化などで有名無実化している。何よりも2002年以降の4回連続マイナス改定で診療報酬は減り続け、医療機関がこれ以上の消費税を負担することは死活問題である。
 保団連、保険医協会は以前より医療機関の損税問題を解消するために「ゼロ税率」の適用を求めてきた。診療報酬に税率0%で課税されると、仕入税額控除によりその経費にかかった消費税の還付が受けられる。これによって医療機関も患者も保険診療での消費税負担を強いられないゼロ税率であれば医療機関にも患者にも診療報酬にかかる消費税負担はない。
 野田首相は法案を通すために国会延長を決定し、解散・総選挙も辞さない構えであるが、消費税導入後の税収累計200兆円とほぼ同等の額、法人税が減税されている鯨 充造鮃佑┐襪函△海遼^討覇世鬚垢襪里話・・⊆・困噺・┐討・襦・br> 我々は低所得者や中小業者、医療機関経営を圧迫する消費税増税に反対し、保険診療にかかる消費税は、ゼロ税率とすることを求める。

【奈良保険医新聞第360号(2012年7月10日発行)より】

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