奈良県保険医協会

メニュー

ようやく全体像が見えた、目からウロコ~レセオンライン請求義務化問題の研究会に85人/奈良県保険医協会

 奈良県保険医協会は4月11日、国が強引に定めたレセプトのオンライン請求義務化期限が迫るなかで、この問題を考える研究会を開催しました。研究会では「レセプト電算処理とオンライン請求の実際」と題して本田孝也氏(保団連理事・保団連情報通信ネットワーク部長、長崎県保険医協会常任理事)が講演したほか、同日に開催されたレセプトオンライン請求義務化撤回・大阪訴訟の原告団結成総会について、大阪府保険医協会より田川健・事務局次長が報告しました。土曜日の夜にもかかわらず、県内各地から85人が参加しました。
 レセプトオンライン請求の義務化期限は、レセコンのある医科診療所は来年2010年4月、手書きレセの医科診療所と歯科診療所は2011年4月が期限です。

標準病名でないものは任意病名で登録

 本田氏は講演で、レセプトオンライン請求の義務化を推進しようとする規制改革会議の動きと狙いなど、これまでの経緯と、「レセプトオンライン請求」そのものの仕組み、これまでのレセプト電算処理の普及状況・進捗状況、今後の見通しなどを概説しました。
 請求実務や仕組みについては、レセプト電算処理とオンライン請求に分け、費用や手続、期間などについて具体的な内容を解説しました。
 要点は、レセプト電算処理とオンライン請求は、それぞれ別であること。医師がコンピュータの知識がなくても可能なこと。オンライン請求の事務は、担当する事務員が一般のインターネットを閲覧するための操作ができるレベルであれば十分であること。レセコンは必ずしも買い替える必要はないこと。標準病名への対応では非該当の病名は「任意病名」としてコード登録すればよいこと、など。

「レセプトは宝の山」(財界人)、ナショナルデータベースの狙い

 本田氏は、このように具体的にレセオンラインへの対応方法を詳しく述べたのちに、規制改革会議の財界関係者、保険者、政府が、こうしたレセオンライン義務化を強く推進する一番の狙いが、「レセプトは宝の山」と言われるように国民の診療情報を電子データとして収集・活用するところにあることを指摘しました。
 電子化されたレセプトはコンピュータ審査で効率よく、画一的な審査が可能になります。加えて、それにあわせたレセプト様式への変更さえ検討されています。
 すでに特定健診・特定保健指導のデータは電子化されて保険者に集積されつつあります。これらとレセプトデータが統合されたナショナルデータベースで国民の医療・健康情報を掌握することで、医療費の抑制と健康産業の情報基盤を提供することになります。
 講演のあとには事前に寄せられたものや会場からの質問に本田氏はていねいに回答し、終了後も参加者からの質問に答えました。

義務化撤回・大阪訴訟へ参加を

 講演の前には、同日午後3時から大阪で開催されたレセプトオンライン請求義務化撤回・大阪訴訟の原告団結成総会の模様と原告団への参加、協力のよびかけが行われました。報告した田川・大阪協会事務局次長は、訴訟では憲法にもとづいて患者さんの権利、保険医の権利を守るための訴えを組み立てていると強調し、すでにオンライン請求をしている保険医も趣旨に賛同すれば参加できる、大阪訴訟は4月23日に大阪地裁へ提訴することを決定し、第2次提訴を6月半ばとして5月末まで原告団の募集しており、先行した神奈川訴訟では原告団の追加はされないので、ぜひ大阪訴訟へ参加を、と訴えました。
 講師の本田氏も自身が神奈川訴訟の原告団に参加しているとして、協力を呼びかけました。

 研究会の冒頭には主催者を代表して坪井裕志理事が挨拶し、レセオンライン請求義務化は、医師卒後臨床研修が国の都合で変更されたこととあわせて、医療の国家統制につながるものだと指摘して、こうした流れに注意を促しました。
 参加者からは「標準病名で悩んでいた、目からウロコです」「具体的でようやく全体像が見えた感じがします」「基本的なことが理解でき、しかも実用的と感じた」などの感想が寄せられました。

【ご案内】
 本田孝也氏より講演資料をご提供いただきました。
 会員専用ページに掲載しました。こちら(閲覧には認証が必要です)。

【ご案内】
 レセプトオンライン請求義務化撤回【大阪訴訟】原告団へのご参加とご協力のお願いについては、こちら(閲覧に認証は不要)に掲載しています。

協会のとりくみ

さらに過去の記事を表示