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【第58回】定着率向上のために休日の設定はどうされていますか

開業医の雇用管理ワンポイント 社会保険労務士 桂好志郎(桂労務社会保険総合事務所所長)

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【第58回】定着率向上のために休日の設定はどうされていますか

 「すぐ退職する、求人をだすがなかなか応募がない」、このような医院から相談を受けた場合、その改善策の即答は、なかなかできるものではありません。職場づくり(コミュニケーション、チームワークなど)、人材育成、労働契約、労働時間、賃金、安全衛生や雇用保険・社会保険、ワークライフバランス、経営理念などの診断から改善点を見つけ出すことになります。当然ですが、各医院でその内容は異なります。求人を考える前に、なぜ定着しないのか、その対策から始めることがポイントになります。

 さらに「人手不足 時給6年ぶり高水準」「就職戦線、はや終盤?大手内定『早く、多めに』 人手不足にらみ争奪戦」などの新聞記事をよく目にするようになりました。定着率向上のための対策を急ぐ必要があります。働きやすい環境を作るうえで、今回は休日と休暇について考えてみたいと思います。

○やりたくないことのトップは、「休日出勤」

 一般社団法人日本能率協会が実施した2014年度新入社員「会社や社会に対する意識調査」で、これから働くにあたって、できればやりたくないことを聞いた設問では(複数回答)、「休日出勤」が最も多くなっています。(図参照)

 休日とは、労働契約において労働義務のない日のことをいいます。各医院においては、毎週日曜日は休日、それ以外にも毎週木曜日とか、シフト表で各職員別に週にもう1日を休日と定めている医院、いわゆる週の所定休日は2日とさだめている医院が多いと思います。またその休日に出勤を命じることは、ほとんどないのが現状だと思います。職員の定着を考えるうえで、休日に関してはその運用にあると思います。

○仕事と生活の両立に配慮した雇用管理を。定着率が違ってきます

 貴院は次のどれにあたるでしょうか。特に正職員の場合、定着のために効果的なのはどれでしょうか。

  1. 1年間固定している。(職員別の休日は1年先まで特定されている)
  2. 年末年始、夏期休暇を毎年4月(または新年の冒頭)には、周知している。
  3. 年次有給休暇を取得する職員がいても①は変更されることがない。
  4. 3~4カ月前までには勤務表が周知されている。
  5. 各職員の希望を聞き、1カ月単位で周知されている。
  6. 勤務表が発表されてからも、振替の依頼がたびたびある。応じなかったら口もきいてくれない先輩がいる。

 職員数で変わりますが、⑤や⑥より①のほうが、「仕事と生活の調和にも配慮」(労契法第3条第3項)したものと言えないでしょうか。②などはすぐにできると思います。年末年始や夏期休暇は早くからわかると家族や友達と色んな計画ができます。働く職員にとってそれを準備する過程も含め楽しいひとときではないでしょうか。

 休日は、可能なら1年間固定、それが無理ならその方向で検討し、具体化してみてください。⑥は絶対にやってはいけないスタイルだと思います。

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