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【第57回】勤務する曜日や勤務時間を変更する場合の留意点は

開業医の雇用管理ワンポイント 社会保険労務士 桂好志郎(桂労務社会保険総合事務所所長)

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【第57回】勤務する曜日や勤務時間を変更する場合の留意点は

 看護師や歯科衛生士確保のために完全週休2日制の実施、それと連動した1日の所定労働時間の変更や歯科医院での変形労働時間制の導入などにより、採用時の雇用契約書に定めた勤務日や勤務時間の変更を検討する場合に法的に留意することは。

◆所定労働時間や所定労働日は重要な労働条件であることの認識を

 就業規則において、労働関係(始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇など)、賃金関係(賃金の決定・計算の方法、賃金の支払いの方法など)、退職関係(退職の事由とその手続き、解雇の事由など)は必ず記載しなければならない事項となっています。

 これらのうちどれかひとつでも記載していないと、労基法違反として30万円以下の罰金が科されます。記載していても、届出をしない場合、実態が変わっても変更しない場合、変更しても届出をしない場合も同様となっています。

 また職員の雇い入れに当たって、使用者は、労働契約の締結の際に、必ず明示しなければならない事項、書面によらなければならない事項に労働時間等を定めています。

◆労働条件を変更するときのルール

 平成20年3月から施行された労働契約法では、使用者は、原則として、職員との合意なしに、就業規則を変更することにより、一方的に職員の不利益に労働条件を変更することはできないと定めています。

 ただし、①就業規則の変更が合理的であること、②変更後の就業規則を労働者に周知させたことを要件として、例外的に就業規則の変更による労働条件の変更が認められると定められています。

 合理的であることの判断要素として

ⅰ)職員の受ける不利益の程度

ⅱ)労働条件の変更の必要性

ⅲ)変更後の就業規則の内容の相当性

ⅳ)交渉の状況

ⅴ)その他の就業規則の変更に係る事情

を勘案して総合的に判断されます。

◆職員との話し合いを大切に

 変更の必要性(世間一般の状況や同業他医院との比較、患者さんのニーズなど)や内容、不利益を緩和する経過措置、労働時間の短縮や昇給などの代替措置等について職員とよく協議をすること。月給制と時給制でも対応に違いがでてきます。特定の曜日、時間に勤務している職員にとっては、勤務時間が減少し給与に影響がでることもあります。勤務日や勤務時間の変更は、仕事と家庭の両立に大きな影響を与えますので、早い時期に提示し、個々の職員の要望も聞き誠意を持ってすすめるようにしましょう。

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