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【第20回】給与の支給日が休日の場合は後日にできるか

開業医の雇用管理ワンポイント 社会保険労務士 桂好志郎(桂労務社会保険総合事務所所長)

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【第20回】給与の支給日が休日の場合は後日にできるか

 一定の期日を定めるとは

 労基法は賃金の支払いについて、一定期日払の原則を定めています。「一定の期日」は、期日が特定されるとともに、その期日が周期的に到来するものでなければならないとされています。例えば「毎月25日」、「毎月末日」とすることです。

 しかし、「毎月20日から25日までの間」のように日が特定しない定めをすること、あるいは「毎月第3土曜日」のように月7日間の範囲で変動するような期日の定めをすることは、一定期日とは考えられませんから、許されません。

 支給日が休日の場合は


 支給日が休日の場合、今までは前日に支払っていたが、4月から土曜日と日曜日を休日に変更するため前日にも払えないことが生じます。このような時は、後日に支払うように変更しても労基法上問題ありませんか?

A
 所定支払日が休日に当たる場合には、その支払日を前日または翌日とするように支払日を繰り上げたり、繰り下げたりすることを定めることは、一定期日払いに違反しません。使用者が事前に必要手続きに従って就業規則を変更する限り支払日が一部変更されても、労基法違反ではありません。

支給日に年次有給休暇を取得するため前払い請求されたが


 毎月の給与を直接現金で手渡しているのですが、職員から支給日は年次有給休暇を取得するので前の日に給料を手渡して欲しいと申出があります。応じなければならないでしょうか?

A
 労基法は、労働者またはその収入によって生計を維持する者の出産、疾病、災害、結婚、死亡、やむを得ない事由により1週間以上にわたって帰郷する場合などの費用に充てるために、労働者が請求したときは、支払い期日前であっても、それまでに労働したものに対する賃金を支払わなければならないことを定めています。
 今回のケースは、ただ単に支給日に年次有給休暇を取得するため、給料を前日に支払って欲しいと請求しているのですから、上記の場合と異なっており、使用者には支払う義務はありません。

退職時の賃金支払いは支給日まで待ってもらってよいか


 毎月の給与の計算期間は前月21日から当月の20日とし、支払日は当月末日と定めていますが、今回10日に退職する職員から帰郷するので、すぐに支払って欲しいといわれていますが?

A
 使用者は、労働者が死亡または退職の場合において、権利者から請求があったときは、七日以内に、賃金を支払い、労働者の権利に属する金品を返還しなければならないことになっています。ここでいう退職は、労働者の自己都合のみではなく、契約期間の満了等による自然退職及び使用者都合による解雇など労働関係が終了した場合のすべてをいい、その原因を問いません。
 今回のケースは、退職者から請求があった日から七日以内に支払うことを要するので、支払日の到来前であっても、それまでに支払わなければなりません。ただし、退職手当については、就業規則等で定めている支払い時期までに支払えば足りるものとされています。

開業医の雇用管理ワンポイント

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