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【第09回】休憩時間の電話当番を強制できるか

開業医の雇用管理ワンポイント 社会保険労務士 桂好志郎(桂労務社会保険総合事務所所長)

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【第9回】休憩時間の電話当番を強制できるか

◇労基法の定めは

 休憩時間とは、労働者が権利として労働から離れることを保障された時間をいうものとされています。

 しかし、休日は使用者の直接的な指揮命令下から離れているのに対して、休憩時間は労働時間の間にありいまだに使用者の支配下にあるために、ややもするとその所期の目的が損なわれがちです。そのために労基法では、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも60分の休憩時間を、与えなければならないことになっています。その与え方は、

  1. 労働時間の途中に
  2. 一斉に付与(保健衛生業は除外)
  3. 自由利用させなければならない

ことになっています

 ただし、休憩時間中の外出を許可制にすることについては、拘束時間の一部であるので、休憩の目的を損なわない限り、規律保持の観点から必要な制約を設けることは、差し支えないことになっています。

◇電話当番は労働時間になります

 その本数や内容によりますが、好意で電話を取ってくれるということであれば、違法云々ということでもないでしょうが、自由利用の趣旨からすれば好ましいことではありません。留守電にするか、当番制にするか改善してください。

 業者等の来客当番として待機させていれば、もちろん労働時間に該当します。

◇午後の作業能率のためにも

 定められた時刻に休憩がとれていますか、今一度、休憩時間がどうして設けられたかを考えてみましょう。人間は、相当時間作業を継続して行うと疲労して能率が低下しますが、途中に休憩時間を設けると、疲労は回復し、再び作業能率が上がることが科学的に証明されています。

 ある医院の就業規則では

(休憩時間)第○○条
 休憩時間は13時~14時とする。業務の都合で休憩時間が13時以降になったときは休憩60分確保する。

と定め、主任の指示のもと、業務への影響を考慮しながら必ず60分は休憩をとることを実行している医院もあります。安定した業務遂行の保障となるでしょう。

◇休憩中の雰囲気は

 人間関係が退職理由の上位になっています。とりわけ休憩時間中のいじめによるトラブルの相談も増えています。使用者として目が届かないところですが、良好な職場環境作りのための努力が求められています。

開業医の雇用管理ワンポイント

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