奈良県保険医協会

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【第07回】通勤

開業医の雇用管理ワンポイント 社会保険労務士 桂好志郎(桂労務社会保険総合事務所所長)

 ここに掲載した記事は、それぞれ掲載時点の情報です。税制の改定や行政当局の新たな通知等によって、取扱いが変更されている事項が含まれている可能性があります。ご高覧にあたって、予めご了承ください。

【第7回】通勤

◇通勤を使用者としてどう考えるか 

 職員が労務を提供するためには、一定時間、一定経路の「通勤」が必要になります。純然たる私的行為とは異なり、業務と密接な関連をもった行為といえます。通勤は、すべての職員が仕事に就くために毎日行わなければならないものだけに、使用者として、明確な規定と温かい配慮が必要になります。

◇毎日気持ちよく―公正で納得できる通勤手当規定を

 「通勤手当は、居住場所より医院に通勤するために要する最も経済的合理的な順路で実費全額支給する。ただし、月額○○○円を限度とする。」との規定が一般的です。そして医院の立地条件で、自転車、自動車の実費(距離を基準に)規定や駐車場への補助、雨の日のときの公共交通機関利用有無等を別規定で定めることになると思います。さらに、欠勤したとき控除するのか、しないのか、控除するならどのような方法で行うのか、暦日か所定労働日か、単位は日か一定期間か等、無用なトラブルを起こさないためにも明確に決め、全職員に周知しておくことが大切です。

◇通勤手当は賃金総額に算入するもの 

 労働保険(労災保険・雇用保険)の保険料は、毎年4月1日から翌年の3月31日までの1年間(これを「保険年度」といいます。)を単位として計算されることになっていますが、そのときに通勤手当を除いて計算されているケースがときどきあります。これは誤りで通勤手当は、賃金総額に算入しなければなりません。所得税法上の取扱いと違いがあるので注意してください。

◇通勤災害を業務災害並みに保護 

 昭和48年の労災保険法の改正で、通勤災害が労災保険の保護の対象に加えられました。背景として、近年の交通事情等の変化に伴い、職員が通勤の途中において災害を被ることも多くなっていること、ある程度不可避的に生ずる社会的危険であって職員個人の注意だけでは避けることができないものであること、したがって、通勤災害は業務災害ではないが、通勤災害の発生状況及び通勤と業務との密接な関係等に鑑み、通勤災害については業務災害に準じて保護する必要があるとされました。

◇道順を変えても通勤災害と認定されるか 

 ときどき院長先生から、通勤経路は一つしか認められないのかとの質問を受けることがあります。職員がもし通勤災害を被ったときのことを心配されてのことだと思います。通勤災害の認定にあたっては、その災害が発生した時点での被災者の行為がポイントになります。「合理的な経路および方法」であったかどうかが問われるのですが、通達では、住居と就業の場所との間を往復する場合に、一般的に労働者が用いるものと認められる経路および手段をいうとされています。したがって、この「合理的な経路および方法」とは、必ずしも一つに限定されたものではありません。 

 ただし、事故が回り道の途中などで発生したものであれば、これは「合理的な経路」にあたらないとして、通勤災害と認められない場合のあることはもちろんのことです。

開業医の雇用管理ワンポイント

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