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主張

2019年7月15日(月)

【健保法等改定】マイナンバーカードで保険証情報確認など――情報漏洩、社会保障給付抑制のおそれ

 5月15日健康保険法等一部改定法案が成立した。衆参両院で実質審議5日間という短期間で8本もの法律を一括改定するというものである。奈良県保険医協会では国会での徹底審議を求める要請文を発出したが、国会審議を軽視する安倍政権の常とう手段が又まかり通ったと言える。
 この改定では保険証情報をマイナンバーカードで確認できる制度が導入される。世帯単位であった被保険者番号に個人単位番号を付加し、保険証の代わりにマイナンバーカードを読み取り機で読み取ることでも確認可能にする、というものである。また社保支払基金の支部を廃止し、全国10ヵ所程度に集約することや、医療レセプトや特定健診データを集めたナショナルデータベース(NDB)、介護レセプトや要介護認定情報を集約した介護DB、特定病院の入院患者に関するレセプト情報や病態等に係るDPCデータベースなどの連結・解析を可能にし、民間業者への提供も想定している。
 マイナンバー制については国民の利便性の向上や、行政コストの削減など謳っていたが、結局は政府による国民の保有資産額の把握が主目的であり、2015年の運用当初から情報漏洩の危険と共にプライバシー権の侵害が指摘されてきた。カードの普及率が12パーセント余りにとどまり、政府は利用の拡大を目指し保険証情報の確認を盛り込んだが、情報漏洩の危険が更に増大するのは必至である。また保険証情報との紐づけにより各人が納めた税・保険料の額と、社会保障として給付された額を比較できるようにし、“負担にくらべて給付が厚すぎる”などと決めつけ、医療、介護、福祉などの給付を削減していく為の仕組み作りでもある。社会保障を、自分で納めた税・保険料に相当する“対価”を受けとるだけの仕組みに変質させる大改悪にほかならない。社会保障を「自己責任」の制度に後退させ、「負担に見あった給付」の名で徹底した給付抑制を実行し、国の財政負担、大企業の税・保険料負担の削減を目論んでいるのである。
 また社保支払基金の統合は地域毎の個別性や季節毎の生活実態などが考慮されない機械的審査の拡大が懸念される。NDBやDPCの民間業者への情報提供では本来公益性の確保というデータ活用の目的からの逸脱や情報漏洩などが危惧される。
 このように非常に多くの問題をはらんだ今回の法改定である。我々は今後とも各法律の施行予定に向け危険性を訴え、同時にマイナンバー制の廃止をも訴えていく。

【奈良保険医新聞第442号(2019年7月15日発行)より】


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