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主張

2018年2月15日(木)

どうなる2018診療報酬改定―現場の実情に沿った診療報酬と社会保障の充実を

診療報酬めぐる攻防
 昨年12月診療報酬改定の協議で財務省は全体で「2%半以上のマイナス改定」、本体部分も「マイナス改定」が必要と建議していた。しかし病院全体の利益率がマイナス4.2%の赤字であり医療崩壊が現実味を帯びてきた。また保険医協会などが行った診療報酬本体の大幅引き上げを求める医師・歯科医師要請署名運動などの後押しもあり、政府与党は薬価の引き下げで財源を作り「本体」部分を0.55%引き上げることを決めた。当会でも会員はもちろんのこと未入会の医師・歯科医師にも署名の協力を呼びかけここ数年で最も数多くの現場の声を届けることができた。
 改定率が決定し、厚生労働省は本年1月10日、4月に改定する診療報酬の主要項目(表1)を中央保険医療協議会(中医協)に示した。中医協はこれをもとに議論し、2月上旬に改定内容を答申する。以下、骨子案の主な論点を述べる。

表1 診療報酬改定 主要な項目
【外来・在宅医療】
  • 複数の医療機関が連携し、24時間態勢で訪問診療を実施した場合の報酬を新設
  • パソコンやスマートフォンを用いた遠隔診療の報酬を新設
【入院医療】
  • 看護配置だけでなく、重症患者割合など診療実績に応じた段階的な報酬体系に変更
【歯科】
  • 器具の滅菌など院内感染対策を要件の施設基準、満たさないと初診料や再診料を減額
【調剤】
  • 大手の門前調剤薬局チェーンや門内薬局の報酬を引き下げ

在宅への誘導
 高齢化と人口減少で手術が必要な急性疾患の患者が減り、生活習慣病など慢性疾患を持つ高齢者が増えることを予想して、政府は医療費抑制を考え入院医療から在宅医療へのシフトを進めている。これまでも在宅医療に特化した医療機関の開設を促してきたが「夜間対応できない」などの理由で訪問診療をする診療所は2割にとどまっているため、複数の医療機関が連携し24時間態勢で訪問診療を実施すれば報酬をつけることにした。それが前回改定で新たに新設された「地域包括診療料」「地域包括診療加算」であるが、届出する医療機関が6%代に留まっているため今改定では常勤医師は1名でも可とするなど要件が緩和される見込みである。
 入院医療は主に患者7人に対して看護師1人という手厚い看護配置の急性期向け病床を減らすため、重症患者をどれだけ受け入れたかなどの実績を加味し、より段階的な報酬体系にすることが示された。また特定の医療機関の処方箋を主に受け付ける「門前薬局」の調剤報酬は引き下げられる見込みだ。

歯科は初・再診料に差
 歯科でも、今次改定の政策意図を反映した在宅や医科歯科連携などの項目で改定事項が並んでいる。そして特筆すべきは、外来の基本診療料(初診・再診)を引き上げるものの、新たな院内感染対策の施設基準要件を設け、これを満たさない医療機関にはその満額の算定を認めず、低い点数にするという前代未聞の懲罰的な点数設定の導入である。加算だった「外来環」と違う、減算とすることの意味は重い。
 歯科診療報酬ではこれまでにも、医科ではなしえないような仕組み――成功報酬や、医療機関への一方的な長期にわたる維持管理責任の押しつけなど――が導入され紆余曲折があった。最も基本的な技術料に格差を持ち込む手法は、またその一つの試みといえる。

社会保障の充実が必要
 社会保障(医療、介護、福祉、年金)と教育は国の根幹をなす重要な社会基盤である。特に高齢者の健康が維持されなければ介護ならびに福祉の負担が増すことは明らかである。安全、安心の医療を行うためにも、診療報酬の大幅な引き上げと現場の実情にあった診療報酬体系を求めていかなければならない。

【奈良保険医新聞第425号(2018年2月15日発行)より】


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